アイリスと芍薬


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毎年アイリスと芍薬が庭に咲く。ほとんど手入れもしないのによく咲いてくれる。いつもはアイリスが咲き終わってから芍薬が咲き出すのだが、今年はどうした拍子かアイリスの咲くのが遅く、ちょうど芍薬の咲くのと同時になった。

今まではそれぞれを別にして描いていたものを今年は一枚のパステルにしてみた。かなり離れた場所に咲いているので仕方なく切花にして花瓶に挿してアトリエで描いたものである。せっかく咲いている花を切るのは家の花であろうと、野に咲いているものであろうとかわいそうな気がしてならない。こうして絵のモチーフにするかぎりは出来るだけいい作品にするしかおわびのしようがない。


まだ子供が小さかった頃、パリにいた時の幼稚園の友達だったフランス人の母子や、その幼稚園の先生がエポンヌに引っ越した我が家に遊びに来てくれたことがある。皆でお茶をした後で城跡の大きな自然公園に散歩に行ったときのことである。ひとりの母親がそのあたりに咲いている野の花を摘みだしたのだが、それを見ていた先生が、私は自然をそのままにしていたほうがいいと思う、と自分の意見を言った。するとその母親が急に恥ずかしくなったのか、その花をその場に捨ててしまったのである。すると先生がその花をひとつひとつ拾い集めて、せっかくだから家で花瓶に挿してあげましょうと持ち帰った、今でもこのときのことを忘れられないのである。



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# by papasanmazan | 2017-05-27 14:55 | パステル | Comments(0)

大きな笠松のある農家

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フランス人の大好きなスポーツである自転車競技の代表的なレースが日本でももうお馴染みのトゥール・ド・フランスである。夏の暑い時期に自転車レースをフランス全土に渡って繰りひろげていくのだが、そのメッカともいえるのがヴァントゥー山である。

そのヴァントゥー山がコースに入った年は私たちが住むマザンあたりでも熱っぽい夏になり、自転車野郎でいっぱいになる。その自転車のコースというのがモルモワロンというところで大きく曲がりこみ、ベドワンという村を通過してそこから2000メートル近い高さのヴァントゥー山へ一気に駆け上っていくのである。

テレビで実況を観ていてもモルモワロンからベドワンにかけての景色は何度も絵にしているところなので、すぐにどのあたりなのかが手に取るようにわかる。このあたりはとりわけ緑の色が美しく、風景も雄大である。小さな丘があって立派な農家が建っている。その庭とおぼしきところにはこれもまた立派な笠松が植わっていて遠くからでもよく目立つ風景である。

P6号のキャンバスにその農家と笠松を描いてみた。



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# by papasanmazan | 2017-05-25 03:20 | 風景画 | Comments(2)

コクリコ

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例年よりは少し遅いがコクリコが真っ赤に咲きほこっている。道端のあちらこちらに群れをなして赤色がとりわけ目に付いている。少し車で走れば車道の脇だけではなく、少しはなれた畑の一画が赤いじゅうたんで覆われたようになって、これも鮮やかである。

このコクリコヲをパステルで描くのは久しぶりである。南仏に移ってきてからしばらくはコクリコの多さに目を奪われて、春になると毎年パステルで描き続けていた。年によってその咲き出すのが遅かったりするとあちらこちらと探し回ったりなどしたこともある。

コクリコ熱もようやくおさまったかのように思っていたが、やはりあのオレンジや赤の色を見ると燃え立ってくる。今年は小さなパステルにしてみた。

隣の空き地にかなりの数のコクリコが咲いていて、ピクニック気分で制作できるのがなんとも有り難い話である。



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# by papasanmazan | 2017-05-18 18:44 | パステル | Comments(2)

テラスにて

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久しぶりの水彩である。何年か前にフランスに戻ってきていた息子にちょっとシャレたジレを着せ、キャノチエと呼ばれるカンカン帽をかぶらせてカフェのギャルソン風の雰囲気で油彩を描いたことがある。面白いモデル画になったので、その後家内にも同じ衣装、帽子でギャルソン風の夫人像も作品にした。

人物画を描くのが一番好きである。モデルになってくれる人があればもっと描きたいところなのだが、なかなか見つからない。やはり家内が一番モデルになってくれやすい。それで一枚水彩をやってみようと思った。

家の二階にかなり広くて見晴らしのいいヴェランダがある。そこでよくコーヒーを飲んだりバーベキューを楽しんだり、ちょっとテラス風の雰囲気にもなる。家内のギャルソン風をその中で仕上げてみた。



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# by papasanmazan | 2017-05-17 15:22 | 水彩画 | Comments(2)

赤土と松

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単純に赤と緑の対比だけを主題にしたF10号の風景画、赤土と松である。モチーフとしても考えとしてもあまりに単純すぎるので絵にしようかどうかかなり迷ったのだが、思い切って制作してみた。こういったものはやはり難しいというのが実感であるが、いい勉強にもなる。

いわば碁盤目の上に赤と緑のタイルを順々に陣地取りのように並べていくような仕事と同じようなものかもしれない。画面に現れてくるものも無表情である。情緒的、感情的にもとらえようがない。

しかしこういったものの中になぜか存在感を感じるのである。一般的に言う空間からは少し離れ去ったところの存在感である。小手先では扱えないような相手だと思う。



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# by papasanmazan | 2017-05-15 01:06 | 風景画 | Comments(2)

庭のバラ

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先日パステルで花瓶に挿したバラを描いたが、その後もまだ庭には大きなバラの花が次から次へと咲いてくれる。これはもう一枚と思って今度は庭に咲いているのをそのまま描いてみた。これもパステルで、紙の地色はピンク系である。

室内で描くよりも明るく感じたので紙も明るいピンクのものを選んだのだが、緑の色調が重なってきてピンク地はあまり目立たなくなってきた。あまり重過ぎる表現も、特に花を主題にしたときにはそうだが、見た目にも考え物である。といっていかにもパステル調というのも自分には合わない趣向である。

ただ以前よりはかなり軽くなってきているのにも気づいている。



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# by papasanmazan | 2017-05-11 18:46 | パステル | Comments(2)

牛骨の静物

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F20号のキャンバスに久しぶりに心ゆくまでゆっくりと静物画を描いた。モチーフにアトリエの片隅に放置していた牛骨を使ってみた。これも久しぶりである。出来る限りどの作品も手を抜かずに制作しているつもりではあるが、この作品に限りある一本の糸に導かれたように制作が余念なく進行した。

雑念が入らなかったといっていいと思う。出来上がった作品のよしあしはいずれまた自分で批判を加えるであろうが、今はこれで充分の気持ちである。

構成としてはまずまずだろうが色彩としてうまく入っていけた作品である。特にブルーの繰り返しがさりげなく使えていったように思う。このあたりもよく考えておかないと得てしてケレン味のあるものになりかねない。固有色とあいまった全体の色調をよくわきまえなければならないところである。



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# by papasanmazan | 2017-05-08 22:29 | 静物画 | Comments(2)

白い見晴らし台

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南フランス地方、プロヴァンスと呼ばれるこのあたりの自然の魅力は限りがない。強烈な光の中でいつも描いているヴァントゥー山はどこからでもその存在を見渡せるし、ブドウ畑や麦畑が緑のじゅうたんのように広がり、糸杉、ポプラ、プラタナス,松などの樹木もさまざまな姿を見せてくれる。

そしてアーモンドやサクランボの白い花が終わった今は赤いコクリコが畑になったり道端に群生していたりと目にも鮮やかである。六月の末ごろからはお目当てのラヴェンダーへと変わっていく。

そんな豊富な自然の恩恵だけではなく、赤土の森の中にある岩や石切り場のあとの白い岩も絵の題材として格好の場所を与えてくれる。切り出された後の白い岩が絶壁となって大きな平野の上に突き出して、前面のヴァントゥー山と対面している。その白い岩に登って見ると柵も囲いも何もない視界はまったくの自然の見晴らし台である。足元から下を見るとすいこまれそうで恐怖さえ感じてしまう。しかし大きな自然は絶景だと思う。

P20号の油彩である。



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# by papasanmazan | 2017-05-01 18:51 | 風景画 | Comments(0)

花瓶のバラ

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若かりし頃に聞いたフォークソングの歌詞のように庭にバラの花がたくさん咲いて、やはり見ていて心がなごんでくる。大きな花も咲いて立派なものである。天気が下り坂で雨模様の日、いくつかの花を花瓶に挿してアトリエでパステル画にしてみた。グレーの地色の紙である。

パステルは出来るだけ軽いタッチであたりをつけながら描き進めるようにしている。紙の性質上それほど強い筆圧には耐えられないので軽く、軽く色を重ねながら決定的な形を探し出していくわけである。それとあまり一つの所にこりかたまらないようにしておいたほうがいい。先ほども言ったように紙の表面がだめになってしまって、その先パステルがのらなくなってしまうことがある。

これはパステルだけに限らず、水彩でも油彩でも制作の過程である一箇所にこだわりすぎるのはよくない傾向である。出来るだけ全体感を重視しながら制作を進めたほうがいい。といいながらなかなか思うように進まず、途中で悩みこむことの多い毎日である。



# by papasanmazan | 2017-04-28 00:23 | パステル | Comments(2)

糸杉と笠松と小屋

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石造りの小屋が道端にあって、大きな笠松と糸杉がすぐ後ろに植えられている。まだそこに人がいるのを見たことがない。よく車でそのそばを通って赤土の森へ制作に行くのだが、そのたびに平凡で何にもないのだがいい景色だなと思っていた。


何度か描いてみようとはしたのだがこれと決まった場所が見つからない。ひょっと退がって見たときに思わずここ、という場所がみつかった。P6号の油彩である。


描き進むにつれてますますこの場所の美しさがわかってきた。本当に美しい緑と赤土の対比がある。このあたりでは何も珍しくはないのだが、こうして絵画に仕立ててみれば特別な意味が与えられそうにも思われてくる。こういったなんでもないような風景はどこにでもあるのだろうが、ついつい見逃してしまっているのではないだろうか。



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# by papasanmazan | 2017-04-23 18:49 | 風景画 | Comments(2)

カシィからの地中海

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先日のF15号のシオタの景色を午前中に描いて、午後はカシィに出かけてカナイユ岬の近くから地中海を遠望できる場所でP10号の油彩を制作した。一週間の滞在で、前二日はあまり天気が思わしくなかったが、後は地中海の目もくらむような青空の下で制作もはかどった。


カシィからシオタにぬける海岸線沿いの高いところにクレットの街道がある。カシィ側の出発点が有名なカナイユ岬で、そこからシオタまで美しい景色や地中海を望みながら車でドライブ出来るようになっている。もちろん自転車で行く人も多くハイキングの人もいる。所々の絶壁ではロック・クライミングで岩の壁にへばりついている集団もある。下を見ればまさに吸い込まれそうな地中海で、人によっては目がまわりそうで恐ろしい。


ああいうロック・クライミング派は一種の病気のようで、岩や石の高いものを見るとなんにでも飛びつくのだそうである。日本にいるとき神社の石灯籠にへばりついていた知人もいたが、やはり病気っぽい印象がある。


キャランクの岩と緑に囲まれた近景を通してみる地中海はひとしお青く美しかった。



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# by papasanmazan | 2017-04-16 21:23 | 風景画 | Comments(0)

マザンの農家

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家内が絵を描くのにいい風景を見つけてきてくれたのでさっそく見に行った。家から車でほんの五分くらいの所で、ここは何年か前に一人で探しに来たことがある。ただその時は夏で、緑一色だったので絵にはならないとあきらめていた。


季節が変わると風貌も変わり、また制作の思考も違ってきているのだろう、すぐに気に入った場所になってしまった。ちょうどもってこいのキャンバスもある、これは特別の寸法で、ほとんど10号の大きさである。日本の著名な物故画家が使っていた額縁用のキャンバスである。


以前探したときには緑に埋もれていてあまり目に付かなかった農家が大変に存在感を示してくれている。それと背後にあるおなじみのヴァントゥー山とを組み合わせた構図になった。季節は春で新緑が柔らかく全体を包んでくれている。最近はできるだけ大きな表現を心がけている。現実的にもあまり細かい部分が気にならなくなってきた、いい傾向だと納得している次第である。


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# by papasanmazan | 2017-04-14 13:03 | 風景画 | Comments(0)

シオタの景色

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毎年春、秋と一週間づつ海の近くにヴァカンスで出かけて制作することにしているが、今年もシオタ、カシィ方面で過ごしてきた。国立公園のキャランクは岩あり、崖あり、そして美しい地中海が魅力で、シオタ、カシィはその真ん中の港である。


シオタの風景ももうお馴染みになってきたが、今回は思い切ってうんと高い場所から何のさえぎるものもない地中海を抱き込んだ湾とシオタの全景をF15号に描いてみた。

手前に木の茂みや幹の交錯したものなどを通して向こうを見る、といったような複雑で入り組んだような構図はいわゆる閉じられた空間といえる。それにひきかえこういった全景をそのままに押し出していく制作は開かれた空間とでもいってもいいだろう。この開かれた空間の表現には技巧的な小細工があまりもちいられないのである。物と物の接点とその奥にある深い空間などを表わすときに使っていく転調などの筆さばきなどを見せられないのである。


いわゆる大きな広々としたところを筆でさばいていくのがこのような開かれた空間での仕事になるのだが、これは案外難しいものである。下手をすると何を描いてももりあがりのない演劇のように退屈な表現に陥ってしまう。




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# by papasanmazan | 2017-04-09 19:08 | 風景画 | Comments(2)

松とブローバックの丘

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春になっていよいよ緑の色が増してきた。モルモワロンの上にあがって見る景色も明るく輝いている。手前の松のくっきりとした緑を通して向こうにみえるブローバックの丘も柔らかないろどりに包まれて、松と丘の対比が魅力的である。家々の屋根の色もオレンジ色で画面の要素にもってこいである。

P10号のキャンバスを選んで制作してみたのだが、もう少し大きなキャンバスでもよかったかとも思う。あまり小さな絵ばかりを描いているとどうも腕が縮んでしまって、伸びやかさがなくなっていけない。少なくとも20号以上の制作を心がけておいた方がいいように思う。

松のフォルムを安定させながら丘や周りの要素との入り組みをできるだけ柔らかく調節するようにして仕上げるようにしてみた。以前なら対比ばかりが目に入ってきてなんだかギスギスしたような表現が多く、作品としても力の逃げようがないものが多かったのだが、少しは余裕のあるものも出来るようになったかと思う。考え方としては寒色の中に寒色を置き、暖色の中に暖色を生かす、といったようなものである。



# by papasanmazan | 2017-04-07 00:25 | 風景画 | Comments(0)

アネモネ

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毎年春になると家の庭にアネモネが咲く。花壇に植えたわけでもなく鉢植えの花でもない。咲く場所も一定で、花も赤、白そして紫とこれも毎年同じである。庭の片隅で、別に肥料をやっているのでもないから花自体は小さいが、色は美しいし、なんだか可愛いものである。

いつも描こう,描こうと思いながらこの時期は他の花にかかりっきりでつい延び,延びになってしまっていた。今年は思い切ってパステルにしてみた。

赤、白、紫の美しい色の取り合わせなので久しぶりに黒地の紙を選んでみた。以前はよく使った紙なのだが。最近質が悪くなって発色があまりよくなく、段々使わなくなってしまっている紙であるが、花それぞれのきれいさを強調したいのであえて試してみた。

黒い地はそれなりに雰囲気は出るが、あまりその味に溺れてしまうと得てして嫌味なものになりかねないので出来るだけアッサリと現らわすようにしてみた。



# by papasanmazan | 2017-04-05 00:57 | パステル | Comments(0)

サクランボの花の頃のマザン

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アーモンドの花に替わってサクランボの花が満開である。ちょっと外に出てみればあちこちの風景が白い花で彩られている。なんとなく眠いときに車で出かけるとハッと幻想的な雰囲気に包まれそうである。果樹園だけではなく町や村の家々の庭でも白い花がみかけられる。

マザンの村をとりまいている田園風景でもサクランボの花が今年はとりわけ白さが目について、教会や村の建物を遠望した構図によく映えたアクセントとしてこの白い花を取り入れてみた。いつもはパステルでこういった風景を描くが、今年は油彩にしてみた。サムホールの小さな画面である。

建物全体の色調と白い花の対比を考えている。花の群れが占める面積の中に垣間見える建物などの色が奥行きを表わすのにちょうどいい部分になって、それと教会などの色調が合わさって全体感が作られていく。

今年は例年よりも少し早い春の到来である。


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# by papasanmazan | 2017-03-31 16:07 | 小さな絵 | Comments(2)

ボーセ風景

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ボーセの風景ももうおなじみで、岩の中から現れてきたような村であるが、岩と家並みやその他の組み合わせをいろいろな角度から探してみるのだが、さて絵にしようとするとなかなか気に入った場所が見つからない。どの位置からでも描けそうでいて、ちょっとした障害物があったり,個々のものの角度がうまくおさまらなかったりして、案外場所探しも大変なものである。

F4号の風景画が出来上がった。この場所ももう何度も描いている構図であるが結局はここに戻ってきてしまっている。しかしどっしりとした村と岩山全体を扱うのにはいい場所である。

最近はどの村の行政も地区の美化、再生に力を入れて、以前に比べるとスッキリと美しくなってきている。ここボーセもそうである。かつての城跡も自然公園のように改良されて一般に公開されているが、便利で住みよくなってはいるのだろうが何か昔の荒々しさが懐かしい気持ちがする。


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# by papasanmazan | 2017-03-27 18:58 | 風景画 | Comments(2)

裸木と糸杉

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先日のM6の裸木と笠松を描いた場所のつづきで、今度は糸杉との組み合わせを描いてみた。F4号である。このあたり一帯は冬の裸木の美しさがとりわけ目につくところで、赤っぽく感じる木々や白樺の林なども散在している。

この裸木と糸杉の作品も人家が奥に見えていて色彩的になっている。裸木を形づくっているところに脇役的に糸杉が縦の要素を与えてくれるのだが、お互いの形の助け合いを考えてみた。そのあたりを制作しているときには間に見える空の部分をよく意識して見ておく必要がある。

形づくられているということは実空間と虚空間の総合であって、それが同時に自分でも感じ、画面にも現れているという具合にならなければいけない。一枚の画面の上に同時空間を表現するということである。


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# by papasanmazan | 2017-03-22 12:31 | 風景画 | Comments(2)

早春の白い道

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小高いところにイーゼルを据えていつもの白い道を見ていると、まだ早春で、夏とは違ってその白さがあまりめだたない。雑木林や若い緑のなかでシックリとした色におさまっている。それでも道はジグザグに遠くへ続いているのがよくわかる。

F3号の風景画である。戸外で描いていてもかなり暖かくなってきて、花もアーモンドが終わってサクランボの花が咲き出してきた。これからが本格的な春である。色彩も豊富になってくる。

そんな季節の中で描き上げたこの小さな風景画であるが、以前よりは密度が上がってきていると思う。決して強く描き込んでいるわけではないが全体性が出てきたようで自分としては満足できている。こういった密度というのは大切なものだがなかなか口では説明がしにくいものである。


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# by papasanmazan | 2017-03-21 12:37 | 風景画 | Comments(2)

岩と家

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自然の中の荒々しい岩、そこに人間が自分たちのために作った家、人と自然が共存しているのが眼前に広がっている。どちらもものをいわない世界である。無表情で、ただそこにポツンと残っている家とも小屋とも、また廃居ともいえるような石造りの建物と、その背景になっている崖の岩を組み合わせた風景である。

F8号の縦型のキャンバスに描いてみた。以前にも一枚、たしかF10号だったと思うが描いたことがある。そのときも同じ感覚だったがなにか飾りが多く、本質的な表現にはいたってなかった。それほどの力がなっかたのをよく覚えている。

正直なもので、こういう表現にしたいといくらいい考えが浮かんでも実力の不足は画面におのずと現れてくる。それをカバーしようとすればするほど絵が飾り立てたものになってくる。そういった現実に直面して描いている本人が一番情けない気持ちになる。

そうはいったもののやはりなんとか表現してみたいと思う気持ちは残って再度制作してみたF8号の作品である。着飾った美しさではなく、もっと本源的なものをあらわしてみたいと思っている。


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# by papasanmazan | 2017-03-17 12:23 | 風景画 | Comments(0)

裸木と笠松

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冬の裸木も魅力的だ。若いときから好きだったが南仏に来てからもなんとか作品にしてみたいと思っていた。木の幹や細かい枝ぶりを赤っぽくあらわしてみたかったのだが何か軽すぎる感じのものばかりになっていた。

今まではほとんど裸木ばかりで構成して制作してきたのだが、ちょうど笠松と裸木が重なり合った風景に出くわした。これはいける、裸木の色を生かすのに笠松の深い緑を対比させてくるのはいい方法だと喜んだ。

細長いキャンバス、M 6号を選んで制作してみた。ちょうど裸木の間から人家も見えていて変化のつけやすい作品になってきた。笠松は丸い、ずんぐりしたような形が面白く、色の対比だけではなく形の裸木との取り合わせも目新しいものである。


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# by papasanmazan | 2017-03-15 15:58 | 風景画 | Comments(2)

赤い岩と樹林

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いつもの赤い森の奥に岩と木々が群れを成している面白い場所を見つけた。少し描きにくい角度ではあるが工夫してイーゼルを据え、自分の立つ場所も確保できるのを確認してからF12号のキャンバスを用意した。このような樹林を描いてみたかったので、赤い岩との組み合わせが出来るのがうれしかった。

気持ちとしても前向きであるし、制作もどんどん進んでいった。ほとんど躊躇するような過程もなく完成した作品である。隙間のないように立っている木々をどういうふうにあらわすかが最初に考えたところだが、赤い岩との対比で樹林全体をほとんど色面として扱って、個々の木の説明はできるだけ少なくするようにと考えた。あまり木の幹や枝の部分、部分に煩わされないことである。

いかにも樹木といった感はなくなるかもしれないが問題は赤い岩と樹木の総合なので、全体感が出るようにしなければならない。いってみれば絵を描くような気持ちになってはいけないのである。最近はとみにそこのところがよく理解できるようになってきた。若いころから目指していたことであった、絵というものにならないところを描く、それが徐々に出来るようになってきた感じがするのである




# by papasanmazan | 2017-03-12 12:36 | 風景画 | Comments(0)

皿と二つのリンゴ

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小さな画面も大きな画面もおのおのがその中に持つ世界は、世界という意味において等価である。小さなスミレの花も大きなひまわりの花も美しさという意味では等価である。

F0号の小さなキャンバスにできるだけの大きさを盛り込みたいとの思いで白い皿の上にリンゴを二つ置いて描いてみた。テーブルには深い緑と黄色を組み合わせた模様の布を敷いている。

このような小さな制作品ではあるがどうにかして自分で納得のいく存在感が出したいと思っている。静物画だけにかぎらず風景画でも根の生えたような表現がしてみたいのである。あるいは美しくなくなるかもしれない危険をおかしてでもそういった存在感に挑戦したい。


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# by papasanmazan | 2017-03-11 00:04 | 小さな絵 | Comments(0)

白樺の林とヴァントゥー山

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いつも制作の場所に向かう車の中から眺めている景色にもなにかの拍子に急に自分に近しいものを感じ、今まで忘れていたものを思い出したような気分になることがある。いったんそういう経験を経た風景はそれからは何かの必要にかられたもののように自分の中に存在してくるものである。

昨年の暮れあたりから白樺の林や木に出会うと心惹かれるものを感じ、これはどこかで見たような景色だぞ、と心が一瞬空白状態になることがある。そのどこかを思い出そうと過去を探るのだが、探せば探すほど記憶が遠のいていくような経験である。

そんな感覚をひきおこしてくれた白樺の林とヴァントゥー山の構成でF4号の油彩を描いてみた。白樺の林は光の影響を受けやすく色調がなかなか整わないので苦労する。こういうときは周りの色調に注目すると案外安定したものが得やすくなる。決して現象面にふりまわされていてはいけないのである。

制作の難しさはその目の前に存在する現象面と物の本質とをどういうふうに取り入れていくのか、二つの対立するものにどう対処していくのか、それを自分なりにつかまえていくところにある。



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# by papasanmazan | 2017-03-06 22:20 | 風景画 | Comments(0)

人形と花籠

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春の嵐とでもいうのか時おり雷を伴った強風、大雨でとても外には出られない。それで久しぶりに室内でパステル画を描いてみた。モチーフにしたのは人形と小さな造花の花籠を組み合わせてみた。

人形は随分以前、まだ三十代の時にパステルで描いただけである。そのときのモチーフの人形は義母の持っていたもので、かなりいいものだったのを覚えている。描いていても気合が入って面白かった。それ以来の人形のモチーフになるのだが、今度のは私たちがまだ南仏に来る前に住んでいたエポンヌでの恩人、ランス氏の奥さんが私の娘にプレゼントしてくださったものである。

ランスさんご夫妻はもうどちらも亡くなっているが、私たち家族を本当にやさしくお世話してくださり、偶然ランス氏にめぐり合わなければ多分フランスにこれほど長くは住めなかったのではないかと思う。私にとってランス氏は実の父親以上の存在といっても過言ではない。

そんな思い出の人形をモチーフにして描いていると、やはりいろいろと記憶がよみがえり、制作の充実感も増した作品になった。

あまり説明の部分が少なくなってきたパステル画になりつつあると思う。




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# by papasanmazan | 2017-03-05 16:54 | パステル | Comments(2)

ヴナスクのプラタナス

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ヴナスクの村の入り口に大きなプラタナスの並木がある。白樺に囲まれた修道院を描いている時に、もう何年か前にこのプラタナスが描けたらなと思っていたのを思い出した。このプラタナスを取り入れて、遠望する風景とを巧く構成出来ればいい絵になるとは思ってはみたものの少し制作に踏み切るには自信がなかった。プラタナスの群れと廻りの空間とを巧くつなげられるかどうかが疑問であった。

そのまま何年か過ぎたのだが今年もう一度実物を見直してみてなんとかいけそうだと思いF15号のキャンバスに制作してみた。小高いところに上がったところにイーゼルを据え、できるだけ遠望の範囲を広くしてみた。普通で言うとやはりむつかしい構図だとは思う、とにかく安定感が少ないのである。遠くの水平線とプラタナスの上限があわさりすぎているからである。

それを始めから承知での制作である,何年か前にためらったのもその構図上の問題に気づいていたからである。しかし少しは制作も進歩しているのであろう,思っていたよりも力まずに進めていけた。ものそのものにこだわりがなくなって、自由な気持ちで描き続けれるのだが、そうかといって恣意的になりすぎるのも困ったものである。その辺りの兼ね合いがスムースになって最近の制作は楽になって来た。



# by papasanmazan | 2017-02-28 19:11 | 風景画 | Comments(2)

レ・ボー遠望

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先のレ・ボーと白樺を描いたサムホールと同時に、これはサムホールの制作場所よりももっと後退した見晴らしのいい場所でももう一枚描いてみた。レ・ボーの全景が見渡せてしかも少し前にやはりあの白樺の木が見えている。パノラミックな形が欲しくキャンバスは12号の12の細長い特殊なものを選んだ。こういう特別な大きさは奇をてらったような絵面(えづら)にならないように気をつけねばならない。

作品としてはとにかく眼を左右に動かして広さを狙うのが一番である。もちろん白樺の木とその奥になるレ・ボーの岩山や天然の要塞との距離感、空間、またオリーブや松の緑との調和、添景として小さくみえている石造りの小屋など絵画要素はふんだんにある。こういった実景を自分の眼で確かめながら描き進めるのであるが,決してそのままを写すわけではない。自分の画面に対する考え方を前提にして必要なもの。不必要なものを選定していくわけである。


# by papasanmazan | 2017-02-26 16:08 | 風景画 | Comments(0)

レ・ボーの白樺の木

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この冬、P12号のオリーブ畑からのレ・ボーの要塞を描いている時にイーゼルを立てているのが大きな白樺の木の横だった。プロヴァンスに特有のミストラルに見舞われると戸外で絵を描いていても吹き飛ばされそうなことがある。経験を積んでくるとおのずとミストラル対策も分かって来て、まず姿勢を低くすること、そのためにいつも立って描いていたのが椅子に座って描くようにもなった。制作の途中で後ろに退がって画面全体を大きく確かめるのが癖になっている私はいつも立って描くのが習慣だった。そのほうが体も自由で楽な感じしていたのだがそれを座って描くようにした当初は随分不自由な感じがしたものである。最近は場所によって座ったり立ったり、まさか寝転ぶこともないのだが、かなり制作の方法も変わって来た。


それからミストラルの強く吹く時には何か大きな風よけになるようなものの横で描くことである。例えばこの大きな白樺の木の横などでは風もかなり避けられるし、イーゼルをその木に縛りつけるとかなり安定して来て描き易くなる。あれやこれやとそれなりの対策が必要である。


そういったわけでこの白樺の木を見つけたのであるが今度はこの木を絵に取り入れてみようと思いついた。それでだんだんと後ずさりしながらレ・ボーの要塞と白樺とを組み合わせておさめられる場所を探し出したのである。これはかなり離れた場所になる。前のP12号は立って描いたのだが今度は小さなサムホール(22、7×15、8㎝)のキャンバスで、イーゼルをブドウの木に縛って、座って描いたものである。この白樺の木も大きいし要塞も強く、荒々しく、大きな岩山の塊であるから構図としてはおさまり難いものなのだが、かえって小さなキャンバスにしたほうが面白そうだった。


昨年までレ・ボーを制作していた場所から今年はかなり離れた場所に移動して描いている。雄大な景色が展開して、またオリーブも全体的な色彩として感じられるのでなかなか気に入った場所になっている。



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# by papasanmazan | 2017-02-25 01:13 | 小さな絵 | Comments(2)

坂道の松

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いつも制作の場所にしているモルモワロン、村の建物もいいし少し上がったところから見えるヴァントゥー山は雄大である。切り出された後の白い岩の形も面白く、絵の題材には事欠かない場所である。今までにも数多く作品にしてきたが、一本の大きな松の木にも以前から着目していた。人だけが通れるような急な坂道の上に立っていて、姿は美しいのだがなかなかイーゼルを立てる位置が決まらなかった。ようやくそのイーゼルの三本の足の長さも調節し、かなりの角度のところからF15号のキャンバスに制作した油彩である。


時々散歩がてらの運動のように描いている脇を通っていく人があって、なかには写真を撮らせてくれと言われたりもする。この頃はそういうことも全然気にならなくなって随分愛想よくなったものである。めずらしく五、六人のグループが上がって来た中に一人日本人の女性もいた。こんな場所で日本人に会うとはこっちもびっくり、むこうもびっくりだった。


松の木が美しいだけではなく、枝と枝の合間から見える遠景の色彩が大変変化に富んで面白い。その合間、合間の色を抜かせながら木の幹の強さと対比させてゆく制作の過程が一つのヒントである。いわば実空間と虚空間との描き分けのようなものである。その総合した全体でタブローとして、つまり一枚の平面として空間を表していく。そういった制作である。



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# by papasanmazan | 2017-02-20 12:55 | 風景画 | Comments(2)

糸杉と農家

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規格サイズとしては一番小さいF0号(180×140㎜)のキャンバスに家の近くの畑の中にある糸杉と農家を描いてみた。このようなごくありふれた風景を探し求めている。何でもない平凡な風景だがイザ探してみると案外少ないものだ。小さな画面にどこといって特徴もない風景を描きながら、そこに強い存在感と奥の深さを表わしてみたいというのがこの二、三年来思っているところである。


飾りのない実直なものといったらいいのだろうか、とにかく表面的な美しさを排したい。そうかといってやはり芸術としての存在であるから決して現実の風景を写すわけではない。このあたりがなかなか難しい制作の実際のところである。


昭和の初期、文楽の太夫で名人といわれた三世竹本津太夫の話である。ある時津太夫の家で、綱太夫、若太夫の二人に稽古をつけたそうである。二人が語っているのを実に細かいところまでなおしてくれる、稽古が終わって帰りに二人が、舞台で語る時の津太夫は実に大まかなのに稽古を付けてもらうと全然違った細かさで、二人は不思議がった、ということである。三世の実子、四世津太夫のいうには、親父は結局何もかも分かっていて、それでもって舞台では大まかな浄瑠璃を語った、ということである。もう一つ付け加えると、三世は、浄瑠璃を語るのに、つくったらアカン、とよくいったそうである。


絵の制作も、つくったらアカン、ということをよく覚えておかなければいけない、と若い時に思ったことがある、今でも忘れずにいる。




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# by papasanmazan | 2017-02-18 22:12 | 小さな絵 | Comments(0)