人気ブログランキング | 話題のタグを見る

赤松の林(2)


赤松の林(2)_c0236929_23160654.jpg


赤松の林(1)と並行してP12号にほぼ同じ場所、同じ松をモチーフにして制作してみた油彩である。イーゼルを立てたそれぞれの場所は10メートルくらいしか離れていないのだが、出来上がった印象はかなり違ったものになってきている。(1)のほうは全体的なあ空間をねらったものだが、(2)は木々を並列させて、上下の関係よりも左右の動きを強調しようと意図したものである。キャンバスも各々の考えの違いによってF,Pなどと選び分けられてくる。


同じモチーフ、主題を取り上げても少しの見方や考え方によって表現されてくるものは大いに違ってくる。芥川龍之介の小説【藪の中】や、それを映画化した黒澤明の【羅生門】では一つの事件がそれぞれの事件関係者の供述の違いを生んで,一体真実は何なのかという疑問を読者や観る者に引き起こさせるわけである。

絵の制作でも同じことが言えると思う。決して新しいモチーフを追い求めることだけが能ではない、同じ題材の中にも違った意味を感じ取っていくことも大切だし、新しいというのはどういうことなのかを見極めていくのはもっと大変なことだと気づくべきなのではないだろうか。 ヴァレリーの言う、物の新しさとは物の古びる部分である、これは名言だと思う。

# by papasanmazan | 2021-06-03 23:18 | 風景画 | Comments(0)

赤松の林(1)



赤松の林(1)_c0236929_10585233.jpg


赤松の林を油彩にしてみた。F15号の大きさである。先日来この赤松をよく絵にしているが、フランスにいた時も松は好きだった。セザンヌがよくモチーフにするような松や、特に南仏の海岸沿いやイタリアなどに多い笠松などそれぞれに趣向があって、その都度描きながらも楽しめたものである。

富士山麓で赤松の群生に出会ったのも一つの驚きであった。こんなにも美しかったのかと目を見晴らしたものである。有難くも新しいモチーフを与えてもらったようなものである。義太夫の太夫が一つの曲を教え込まれて習得すると、メシの種が一つ増えました、と言って感謝するようなものである。

このF15号のような図柄の物が何点か続くだろうが、冬の時期にはもっと大きな画面で、少し屏風絵、襖絵めいたようなものもできないだろうかと今からもくろんでいる。

# by papasanmazan | 2021-05-30 11:22 | 風景画 | Comments(4)

ダリアと金魚草

ダリアと金魚草_c0236929_10353721.jpg



先日投稿したパステルの金魚草、その花にダリアも加えてもう一枚パステルを描いてみた。色とりどりの組み合わせで,描いていても季節の楽しさを味わえる。こういう組み合わせには、パステルがもってこいの仕事である

宮沢賢治の童話に『まなずるとダァリア』というのがある。黄色や赤のダリアが出てきて華やかな主役をつとめるのだが、まなずるとの言葉のやり取りでその花たちの運命が暗示されていく。その季節や時刻などが賢治の色彩感で豊かなハーモニーの童話に仕立てられていく。その『まなずるとダァリア』を作る前に習作として『連れていかれたダァリア』というものも書かれていて、二つの話を比較すると面白い。

『連れていかれたダァリア』の中にはない白いダリアが『まなずるとダァリア』の中には登場してくるのだが、華やかな赤や黄色のダリアと違って白の花は全くの無言である。まなずるがその白い花に話しかけるだけのシチューエにしてある、それに引きかえ、赤や黄色の花はこちらから絶えずまなずるに話しかけていくし、自己顕示が大変に強く示されている。無言の白い花とは大いに違っている。

童話の中に示された色彩の多様さ、宮沢賢治の全集は私の座右の書である。

# by papasanmazan | 2021-05-23 12:03 | パステル | Comments(0)

初春の忍野富士




初春の忍野富士_c0236929_11492806.jpg


満開のサクラやミツバツツジを眺めながら忍野まで車で行くと、初春の富士の色もすっかり冬とは違っていた。すそ野に刷かれたような若草色が見え、何とも言えずに日本を感じさせる。これがフランスだと遠くに見える麦畑がエメラルドグリーンに映えていて、なるほどもう日本に戻ってきているのだと気づくのである。

まだ雪を頂く富士を冬以外の季節に描くのは初めてある。春、夏、秋、それぞれの富士の姿を楽しみにしていた。まずはF6号のキャンバスに初春の富士をおさめてみた。色々な場所を角度を変えてみたり高いところに登ったりして探しているのだが、結局このイマージュになる。

描いていると、近くにしょっちゅうキジがあらわれて、いかにも田園の生活に満足感をおぼえてしまうのである。制作に没頭しながらも大変に安らぎを感じる日々である。

# by papasanmazan | 2021-05-11 06:39 | 風景画 | Comments(4)

赤松と白樺の樹間

赤松と白樺の樹間_c0236929_11494328.jpg


富士山麓の生活も半年くらいになって、ようやく新しいこの環境にも慣れ始めてきた。周りの風景は富士山の存在はもちろんのこと、樹木、花、水、空気、どれも申し分なしである。制作の方も思っていたよりも早く仕事として馴染むことが出来て、体調も大いによしである。


まったく予想もしていなかった赤松と白樺の林にも目を奪われて、今度はF8号の大きさに描いてみた。これも緑の展望台の真下の風景である。普通の意味で言って林を描く、といったものではなく、赤松と白樺の木々による樹間,木と木の間の空間を総合していきたい、といったねらいどころである。


以前のフランス、エポンヌに住んでいたころ熱中していた樹間シリーズの延長といっていいと思う。自分としてもこの木々のとらえ方は好きである。おそらくこの次の冬にはもっと違った場所が見つかるのではないかと、今から楽しみにしている。

# by papasanmazan | 2021-05-08 02:13 | Comments(4)