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赤い鎧戸の家




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今年の夏の終わりから10月の日本への一時帰国前まで制作していたもので、その一時帰国の間制作を中断していたのを、フランスに戻ってから再開してみた。F6号の風景画で、丘の上にある赤い鎧戸のある家である。何年か前にF4号に描いたことがあるが、不満が残りもう一度挑戦してみた。

もちろん中断した期間が二ヶ月くらいあるので、季節の違いからすっかり丘の色彩が変わってしまっている。しかし今はそういった状況などどうでもいいようになってきた。というのは表面に現れた現象を描こうというのではなく、もっと奥にある本質にまで画面をつき進めたいという気持ちが強くなってきたからである。


フランスに戻ってから意識的に理屈っぽい美術書を読んでみた。あえて名前は挙げないがその本の内容についてはよく理解が出来る。また書かれていることも正しいと思うのだが、一番強く感じるのは制作の実際にはそういった理屈は全く不用な感じがする。

そこでこれは愛読書の一つだが、またセザンヌの書簡集を再読してみた。ここでやはり自分の思っていることが再確認されることになった。セザンヌの最晩年に、たとえばエミール・ベルナールとのやり取りのなかで、さかんにベルナールの質問に答えてセザンヌの絵画に対する理論を展開しようとするのだが、実際のセザンヌの制作しているのはそんな理論上にはないのである、もっと自然に即した、本質に根ざした感覚と経験によるもの、それはとても口で言い表せるものではない、ということに最近はとみに共感できるようになった。

そういった最近の意識で制作すると余り季節の違いから来る色彩の変化などは気にならなくなってくる。では何をよりどころに絵を描いているのか、とたずねられたら、落語の素人うなぎではないが、前に回ってうなぎに聞いてくれ、といったような答えになってしまいそうである。

# by papasanmazan | 2019-12-22 19:39 | 風景画 | Comments(2)

柿の木のある家


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もうすぐクリスマスだというのに今年のフランスは全国的なストで、公共の交通が麻痺していたり、大々的なデモ行進で深刻な状況になっている。日本でも同じことなのだろうが、老齢年金の支給が先送りにされそうなのに対する反対運動がそもそもの発端で、クリスマスといえば一番にぎやかなはずの歳末商戦にも大きな影響がでてきているようである。政府と労使の話し合いも平行線をたどって、解決のメドも今のところたっていない。

それに加えて、これも全国的な天候による災害が広がっている。大雨によるもの、強風によるものなど、地球の環境破壊が如実に感じられて、何か不安に覆われた感じがする。日本での個展が終わって南フランスに戻ってきてからも落ち着いて戸外で制作できる日が少なく、なかなか作品も出来上がらない状況である。

そんな中で今年の夏、集中して描いていたキャロンの村の家で、大きな松の木を背景にした一軒ポツンと建っているのを見つけていたのだが、晩秋になって行ってみると柿の実が少し残っていた、余り色彩的にも、構成的にも人目をひくような風景ではないのだが、その柿の実の色になんとなく魅かれてF10号のキャンバスに描いてみた。


何気ない絵になっているが自分としていい勉強になったものである。大きく物をつかむこと、そしてそれを出来るだけ大きく見せること、細かい神経は使っていてもそれを画面には出さないこと、それでもって一つの作品として完成せること、これらは今まで明確には意識しなかったことである。

# by papasanmazan | 2019-12-18 23:05 | 風景画 | Comments(2)

ザクロ

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芦屋での個展を終えて南仏に戻ってきた。年齢とともに時差がきつくなって、なかなかもとの生活リズムが取り戻せないでいる。時々づつ眠気がきたり、疲れが出てきたりする。おまけにこの何日かはヴァール県などを中心に記録的な大雨で、広範囲にわたって被害がでていたりする。今までにはフランスにはあまりなかった地震がアルデッシュに起こったりもして、何か不吉な感じさえするこの頃である。

とはいえ今回の個展は予想以上に活気があって、成績もそれなりに納得のいくものだったので安心した。今まで以上に多くの方にも見ていただけ有難かった、お礼申し上げます。

疲れは残っているが、そうばかりも言ってられず、戸外での制作も再開である。予定していた油彩は後からにして、まず目に付いたザクロの木をパステルで描いてみた。家から近いところで、あちこちのザクロの木はモチーフに取り上げていたのだが、一箇所だけがまだ実が赤々と残っていたので、さっそく制作に移った次第である。

美大を出て、はじめて制作らしきものにぶつかったのがこのザクロの木と実のシリーズだった、そういう意味でも自分にとって大切な制作である。

# by papasanmazan | 2019-11-26 22:30 | パステル | Comments(0)

恒例になりました、秋の個展です。


秋の個展の案内状が出来上がりました。

兵庫県芦屋市にある ぎゃらりー藤
2019年 11月1日(金)~6日(水)

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= 皆様のご来場を心よりお待ちしています。=


# by papasanmazan | 2019-10-21 12:30 | 展覧会 | Comments(2)

のこぎり山遠望





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大きなヴァントゥー山からづっと裾ながく続いて、岩をむき出したようなのこぎり山(ダンテル ドゥ モンミライユ)が見えている。近くからみるとまるで恐竜のようなあらあらしい山だが、マザンのあたりから遠望すると、周りの風景と溶け合って一つの牧歌的な優しい風景になってくる。

いつも制作に向かう車の中からこの風景を見るのだが、それほど特徴的なものではないが、何とか絵にしたいと思っていた。あるいはいつまでも思い出になるような風景なのかもしれない。

いちどはP10号の大きさの油彩を描いて、ほぼ出来上がった状態にまでなっていたのだが、最終的に何かが不足している。どうにも解決が出来ずに今もそのままにしているのだが、それとは別に、もっと小さいもので試してみようと、同じ場所でサムホールの大きさの、ごく小さなキャンバスにも描いてみたのである。これは小さい画面ということもあるのか比較的スムースに進んだものである。

最近よく考えている、ごくありふれたモチーフ、どこにでもみられるような風景ではあるが、やはり心惹かれる何かを感じるのである。もう少し時間をおけばP10号のものもものにできそうな気がしている。

# by papasanmazan | 2019-10-10 00:55 | 小さな絵 | Comments(0)

卓上静物






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F6号のキャンバスにごくありふれたモチーフを集めて一枚の卓上静物を創ってみた。色々とモチーフをあさってみるのだが、どれももう一つといったような具合の時がある。そういう場合、私はとにかく手ごろで、ありふれたものをどれということはなしにアトリエに持ってきて、目についたものから机の上などに置いていく。

だんだんと自分の構成が出来上がってきて、その時点で何が足りないのか、どうすればいいのかをまた考え直す。そうしてまた一から布や背景の選択にかかったりして再構成していく。とにかく気に入るまで描き出さないようにしている。

静物画に限らず風景などでも特に大がかりなもの、奇なものは必要と思わない、ごくありふれたものでいいと思っている。このF6号の静物もそういった一つだが,描き始めから終わりまで終始一貫滞りのなかった制作だった。

# by papasanmazan | 2019-10-08 18:14 | 静物画 | Comments(2)

シクラメン




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町の花屋でシクラメンをよく見かけるようになってきた。赤、白そしてピンク、どれを選ぼうかと迷ってしまう。今年は若返りを図ろうかというのでもないが、赤色の花をアトリエに置いている。


以前はよくモチーフにしたシクラメンだが、この何年かは全く知らないふりをしていた。ちょうどミストラルが吹き荒れて、戸外での制作が出来ない時に、思い出したようにパステルで小さなグレー地の紙に描いてみた。


やはり好きなモチーフで、面白かった。シクラメンの場合は花の重なり合いが作っていく連続したアウトラインが大切で、その花全体の部分と、その間にできる空間の部分とのバランスが魅力である。虚と実をはっきり意識して描くように心がけている。

# by papasanmazan | 2019-10-07 15:28 | パステル | Comments(0)

ポプラとヴァントゥー山





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マザンの村の中心から少し外れたところに、広く見渡せる畑の中にポプラの並木がポツンと立っていて、向こうに見えるヴァントゥー山とうまく対比している場所がある。車が通う道の少し下にブドウ畑があって、そこから見ていると何とも牧歌的な雰囲気で、ほとんど人の通ることもなく、絵の制作にはもってこいのシチュエーションである。


今までにも数枚制作したが今回はF0号の小さなキャンバスに描いてみた。畑が遠くまで広がって緑の色が主になってくるが、小さく見える農家や大地のオレンジがかった暖色、ポプラの色彩の変化など、小さな画面にもかかわらず描きながら目があちこちに引き回される思いであった。

こういった小さな作品の見せ場を作るながらの計算された制作も非常に難しいが大切なものだと思う。決して簡単に扱えるものではない。

# by papasanmazan | 2019-10-05 16:52 | 小さな絵 | Comments(0)

ミルクポットと果物籠


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F10号のキャンバスに銅製のミルクポットと果物籠を組み合わせた静物画を描いてみた。二つとも最近手に入れたものである。ミルクポットは地味な色で、少し大きすぎるきらいがあるが、どっしりとした存在感が非常にいい。また果物籠は家内が蚤の市で掘り出してきたものだが、新しい工芸品の籠と違って、生活のにおいが残っているような重みのあるものである。

ともに渋くて地味な色合いながら、二つに共通したようなトーンが目を引き付けてくれて、静物画のモチーフとして有難い掘り出し物である。これにいつも使っている黒とグレーの縞模様の布、それに赤いソース差し、果物籠に盛ったリンゴと梨など、なにか大変に制作欲がわいた作品である。

あまり色としては目立たないモチーフにかこまれてソース差しと梨の赤、野生のリンゴの緑の対比が上手くはまってくれればそれいい。特にソース差しの赤はほとんど描き込まないようにして赤い色を存在させるようにした。描き込むのは他のもので充分である。

出来上がった作品に目を当てて、赤と緑にばかり視線がとどまらないようにと願った。

# by papasanmazan | 2019-09-28 17:07 | 静物画 | Comments(2)

バルーの城





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プロヴァンスはロワール地方などと比べると城の数はかなり少なくなる。城壁だけが残っていて、それを現在の家並みに利用しているようなところは多いが、まとまった形で城全体がみられるというところが少ないのである。

こじんまりはしているが、よくその城全体の美観をこのバルーの城は保っている。我が家からは車で15分位なので絶えず絵を描きに行く場所である。今までに何枚の油彩や水彩を描いてきたことだろう。

そう考えると、松並木の間から見える城、坂道を通して奥に姿の見える城、バルーの村の全景の中の城などを題材にしてきたが、城そのものを正面から描いたものはほんのわずかしかなかった。今回はやや小さいがF4号のキャンバスに、城に照準を合わせたものを描いてみた。角度から言ってもう少し近づいて城をアップしたいのだが、村の家々の建物との兼ね合いで、この距離を選ぶしかなかった。

# by papasanmazan | 2019-09-21 15:23 | 風景画 | Comments(0)

サントン人形と果物





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南フランスの郷土工芸のサントン人形と果物を組み合わせてF8号の静物画を描いてみた。プロヴァンスの名物であるサントン人形はクリスマスのクレッシュの飾りにする人形であるが。単体でも家庭の置物でよく見かけられる。サントン人形だけを扱った店もあるし、町の蚤の市などでもよく売られている。

我が家にも四つのサントンがあるが、いつも老婆の人形を静物画に使っている。蚤の市などで探してもなかなかいい人形が見つからず、また他のものでも絵のモチーフになるようなものがないかと見まわすが、たいていはガラクタばかりである。

画面の動きを第一に考えてモチーフを組んでみた。普通なら背の高い人形を左側に持ってくるところだが、少し心理的な動きを考えてあえて右側に置いてみた。人形の顔の傾きと両方の肩の高さの違いで人形自体がむかって右から左へ視線を送るようにして果物につなげていければ、という感じである。少し派手な色合いになったが、軽みのある画面を心掛けた。



# by papasanmazan | 2019-09-18 08:08 | 静物画 | Comments(2)

赤い森




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先日のF10号、赤い岩と横たわる木と並行して描いていたP25号の赤い森もようやく完成した。やっと、ようやく、と言っていいほど全力で描き込んだ作品である。描きあがった段階で自分で何度も点検し、じっと見直していた画面である。


F10号の前作を描いている途中から、画面向かって右側の橙色の岩の面積をもっと増やしたい欲求が強くなってきた。しかももっと大きなキャンバスに描いてみたい、そこでやおらP25号を選んで、隔日にこの二枚の並行した制作になったわけである。、しかしF10号が終わった後もP25号のほうはなかなか納得がゆかず、大いに苦労した。

自分としては満足のできる作品に仕上がった。赤い岩のシリーズとしても一応の答えが出たような気がするのである。

最近の作品を自分で見直してみて、一つよくなったと思うのは、その完成した作品のそれぞれのマチエールが以前よりはサラッとしながら粘りも出てきたような気がする。この感覚は自分にとって大変な進歩だと思っているし、有難い現象だと喜んでいる。なぜならこのマチエール、触覚というものは絵画を判断するうえで非常に重要な要素になるからである。その触覚一つで画家の人格がわかってくる、と言っても過言ではないと思う。私の理想でいえばその作品の表面を手で撫でてみたい、というようなものが出来上がってくれればと願っている。

# by papasanmazan | 2019-09-13 06:16 | Comments(2)

キャロンの教会






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先日のM10号のキャロンの鐘楼と同じく、この夏の初めころ描いていたキャロンの教会をもう一度P6号のキャンバスにおさめてみた油彩である。この村の教会は鐘楼ほどは特徴的ではないが、村の中央にドンと横たわっていて、存在感は充分である。

そもそもこのキャロンの村自体が横に長く連なった並列的な性格で、それでいて高さも下からせりあがっていく建物の積み重なりで、これも非常に魅力のあるものになっている。この二つの性格が相まって、全体として直線的な強い印象を与えてくれる。

プロヴァンスの村といえば、村の中のジグザグした道や、石畳に囲まれた家の古い入り組んだ壁などを絵の主題にすることが多いようだが、キャロンの村だけではなく、その村、そのコミューンの性格をよく見分けていくと面白い発見もあると思う。

# by papasanmazan | 2019-09-10 18:53 | 風景画 | Comments(0)

梨とリンゴ





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F3号のキャンバスに梨とリンゴを組み合わせた静物を描いてみた。F3号で、少し小さい画面だが、梨二つ、リンゴ五つと、これは多すぎるかなと思いつつ収めてみた。黒とグレーの縞模様の布に白い布も置いて空間を作るようにした。

果物七つをピラミッド型に沿って置くように最初から意図した。それでもって全体がなんとかバロック的な感じにならないかなと思ったからである。このような小さな画面でも何か自分の感じや意図を大切にしていくと制作そのものが楽しくなってくる。

色数も限られたものになっているが、白や黒などの無彩色をうまくはめ込んでいくと、思ったよりも色のハーモニーが出て、落ち着いた調和が得られるようである。

# by papasanmazan | 2019-09-07 23:33 | 静物画 | Comments(2)

キャロンの鐘楼





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今年の夏に入るころキャロンの村の建物を集中的に制作した。鐘楼や教会、村全体などを大きさを変えたり角度に変化を加えて数枚の油彩を描いて一応満足したのだが、何となくもう一度描いてみたくなるだろうなという予感があった。

そののちヴァントゥー山や赤い森などの制作に移ったのだが、これも一段落しそうになるとやはりキャロンに戻ってきたのである。おそらく今まで集落や建物を正面切って描いた経験が少ないせいで、この積み上げたような建物のの姿にあこがれを感じていたのかもしれない。

それでF3号などに描いたキャロンの鐘楼、これはキャロンに限らずどのプロヴァンスの村にも共通する特徴的な鐘楼を今度はP10号のキャンバスに描いてみた。建物もずっと横長にとって、村を俯瞰する感じのとらえ方による油彩である。

建物の色彩だけではなく間に挟み込んでいく緑に注意しながら制作した。

# by papasanmazan | 2019-09-04 00:06 | 風景画 | Comments(2)

カフェティエラと果物

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F4号のキャンバスにカフェティエラと小さなリンゴ、梨をモチーフにして描いてみた。静物画の典型みたいな画面だが、じつはこの背景の布の色を使ってみたかったのである。カルパントラの高級布地店で見つけたもので、いい色合いなのだが、下手に扱うと手前の肝心のモチーフがおされ気味になるような布である。

要するに脇役が主役を食ってしまいそうになる布なのだが、色そのものは上品で落ち着いたものである。それに負けないようにと考えて垂直にカフェティエラの強い金属感を使ってみたのである。後は白い布と果物を配して一枚の静物画にする。

いわゆる対比と同調、全体の調和を自分の持っている調子に持ち込んでいけるかどうかというのが絵として上手くいくかどうかということになると思う。




# by papasanmazan | 2019-08-29 15:38 | 静物画 | Comments(2)

少女像と果物







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一応パステル画のジャンルに入れているが、ほとんど木炭画である。昔ながらの木炭デッサンというやつである。私たちの若い頃は美術大学の入学試験といえばなんといっても木炭デッサンの時代であった。最近はほとんど省みられないものになったのだろう。


カルトンとよばれる画板に木炭紙をクリップでとめて、左手に計り棒を持って石膏像、初心者ならたとえばアグリッパ、ミロのヴィーナスの胸までのもの、段々と難しくて大きな像、ラオコーンやヘルメス、ジョルジョやモリエールなどを次ぎから次に木炭でデッサンをして勉強させられたものである。

この木炭というのがなかなか初めのうちは扱いにくく、色もただ真っ黒の像が出来上がるだけなのだが、段々と調子を整えれるようになってくると木炭のトーンも複雑で美しいものが表現できるようになってくる。ここで質感とか物のヴォリュームなどの問題を解決していけるようになってくるわけで、やはり実技として大切なものだとその時に分かってくる。

現在他に静物画を描いていて、ちょっといきずまったのである。その絵の問題を解決するのに考え込んでいると、ふと木炭デッサンを思い出した。ちょうどMBMの木炭紙も残っていたので、やおらいつもの少女像と果物を組んでデッサンを始めたもので、途中から果物のいくつかに少しパステルで色をおいてみた。

# by papasanmazan | 2019-08-26 00:51 | パステル | Comments(2)

赤い岩と横たわる木

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やはり赤い岩や森、赤土一帯を主題にした制作を続けている。何年か前に横たわった三本の木と赤い岩の組み合わせをF25号で描いたことがあるが、これは面白い制作だった。今回も同じ場所でF10号に描いたものだが、以前のは冬の時期で、緑の葉っぱがほとんどなかったが、今回のは栗の青々とした葉っぱで部分的に覆われたようなモチーフである。

その葉っぱの緑のかたまりと岩の赤との対比、目がひかれるのは当然それである。その色彩の分量、三本の木の傾き、などなど絶えず画面全体を眺めては出来るだけ表現の幅を広げようと試みたものである。

表現の幅、といってもどこからどこまでと具体的に指摘できるわけではないが、いわゆるモチーフになっている実景だけにとどまることなく、画面全体の大きな調和を求めるための制作のかけひきというようなものを考えに入れていくのである。強調するところは強調し、省略してかまわないと判断したところは略するようなこともある。実際の色とは異なった色彩の入ることだってある。ただしやはり実景の観察は大切で、おろそかに出来るものではない。

こういうのを総称して制作といえる、といえるような作品にしたいと願っている。なおこのF10号のものと平行してP25号の同じ場所での作品も描いているが、こちらはまだかなり時間が掛かりそうである。

# by papasanmazan | 2019-08-24 23:04 | 風景画 | Comments(2)

モルモワロン風景





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モルモワロンの村の教会を手前のポプラの木の間から見えるアングルでF3号の小さな油彩にしてみた。数年前にはこの場所でかなりの数の制作をしたが、久しぶりにイーゼルを据えて眺めてみてもほとんど景色は変わっていない。ただ所々の家が壁を新しくして、全体には少し明るく、また軽くなった感じはする。


制作の実際で言うと、たとえばポプラの扱いなどが直接的になってきたと思う。教会の建物などでも単に高さが出ればいい、といったことで余り細かい部分や装飾的と思われる部分には眼が行かなくなった、目が行かなくなったという以上、その部分に筆も入らない、色彩もない、形も端的ということになる。

これで下手をして失敗すれば、全くの手抜きの絵という事になるわけである。かなり若い頃、先輩の絵の先生に、個展の会場で、大きな声で、手抜きだ、といわれたことを思い出す。決して手を抜いたわけではなかったので、随分複雑な思いであった。

F3号の小さな油絵でも手抜きに見えなければおなぐさみである。

# by papasanmazan | 2019-08-18 18:30 | 風景画 | Comments(4)

白い道とヴァントゥー山(水彩)


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先日の油彩画、白い道とヴァントゥー山と同じ場所で小さな水彩画も描いてみた。とにかく水彩が面白く、あれこれ描いてみたいものが続出してきてかなわない。この場所で油彩を制作している途中でも水彩に気持ちがひかれて、途中一日を水彩に当ててみた。これはごく小さな水彩で17×13,5cmの手のひらに収まるようなものである。

油彩の時でも出来るだけ明るく軽い表現を心が桁つもりだが、やはり水彩となるとかなり仕上がってくるもものが違ってくる。小さいながらもかなりか描き込んだつもりだが、物質の重さというものは消えてしまっている、その代わり画面にはミストラルでも吹いているような空気の流れは感じられるかもしれない。


水彩の即興性はその技術を上手く使っていけば、やはり一つの表現された美術である。

# by papasanmazan | 2019-08-14 18:25 | 水彩画 | Comments(0)

白い道とヴァントゥー山






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我が家から少し歩いた見晴らしのいい公園から、広がったヴァントゥー山を背景にマザンの教会や村の景色を見渡すことが出来る。手前にはブドウ畑が広がり、人家が点在している。そのあいだを白い道がくっきりと曲線を描いている。そんな風景を油彩や水彩、パステルで何枚も描いてきた。

これも一つのシリーズになったような画題だったが、残念なことに最近この風景が整備され過ぎてきて、この白い道が目立たなくなってきた。曲線も途切れるし、舗装された道は以前の白さがなくなってしまった。制作の意欲もそがれてしまったのである。

ところが昨年、家内がこの地域の環境清掃の活動に参加した時に新しく絵の題材になりそうな場所を見つけてきてくれた、さっそく見に行ってみるとヴァントゥー山はもちろん、手前にはなだらかな丘にオリーブの林が広がっていて随分のどかな景色である。しかもその丘に一本の白い道が見えている。車が通ると白い砂煙が舞い上がる昔ながらの白い道である。

今年の夏になってからこの風景に挑戦してみた。ちょうど木陰があって、涼しいところにイーゼルを据えられた。P15号の油彩である。

# by papasanmazan | 2019-08-10 12:13 | 風景画 | Comments(0)

赤いソース注し



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少し描きこんだ水彩を一枚制作してみた。鉛筆に淡彩をほどこしたものなども軽やかな味があっていいが、水彩でもかなり描き込んだものも時々はやってみたくなる。いつも水彩の絵の具と鉛筆は併用するが、表現が足りないと思うと鉛筆で形の当たり直しや、動きの強調をつけたりして、その後また絵の具の重なりが入ったりする。だんだんと本来の水彩の表現からは遠ざかるかもしれないが、構成力は出来上がってくる。


それでも常に地の紙の白さは保つように考えている、その白さでもって全体の明るさを出していきたいからである。それが無理ならそこからは油彩の範囲になっていく。これはまた違った制作物である。


今回はまず赤いソース注しをモチーフにして、それに野生のリンゴと梨を加えた。それに高さの意味で青い小さなビンも置いてみた。この時期にはいつも野生の果物をモチーフにするが、リンゴなども手のひらに入るくらいの大きさで、それでいて色はきれいで形もさまざまで面白い。梨と組み合わせると何点でも描けそうな気持ちになる。



# by papasanmazan | 2019-08-07 19:00 | 水彩画 | Comments(0)

赤い岩





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いつもの赤い岩、今回はF12号を縦型に使ったものである。かつて日本で制作を続けているときは富士山や竹、松などをよくモチーフに取り上げて、一つのシリーズになっていたが、フランスに住みだしてからはやはり環境ががらりと変わって、風景そのものが目新しく、どれでもを絵にしていきたいような気持ちだった。

プロヴァンスに移ってからはやはり経験もつまれてきて、対象になる風景をよく見極めれるようになって来たようだ。以前のようにフランスの緑の美しさ、景色の透明感に圧倒されてばかりではなく、自分の意図でもってモチーフを選んでいけるようになった。

そのような中でやはり眼前にあるヴァントゥー山はどうしても避けて通れない対象物で、これはなかなか勉強になるモチーフだった。その重量感と横への流れの調和に最初の頃はとまどったものである。

そしてもう一つシリーズになるような赤い森、その中にある赤い岩、もしくは黄土の岩、これらの組み合わせが大変に重要なモチーフになってきた。自分の好みから言えばこの赤い岩は一番好きなものである。いわゆる絵づらが悪い、見てくれが悪い画面になるかもしれないが、どうしてだかとにかく惹かれるのである。

今回のこのF12号も相当に描き込んだものである。

# by papasanmazan | 2019-08-03 18:29 | 風景画 | Comments(2)

オリーブと松のある家





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たとえば何か風景画を描こうとすると,良い眺めや面白そうな建物、その他自分の心にかなう景色を追い求めていく。初心者の頃はどんなにこの場所を描いてみたいと思うようなところが見つかっても、なかなかいざ実際に描いてみるとどれもこれも難しいものである。

それが少しづつ経験をつんで、いろいろなモチーフにあたっていくと、その風景にも自分の好みがでてきたり、こういう構図のもの、自分の意図などが加わってきて、その制作も段々高度のものになってくる。そして出来上がった作品にしてもあるときは深みのあるいいものが出来るかと思えば、時々は自分の自己満足だけに終わって、他人の目からすると一体これは何を現し、何を言わんとしているのか、と批判の対象になるようなものも出来てきたりする。

いわゆる奇の衒ったもの、ただただ難しいもの、その他高度なものには違いないが親しめないもの、そういった制作もできてくるわけである。しかし最近の私は年齢のせいか、モチーフにはできるだけ当たり前で、どこにでも存在し、すぐにでも手に取れるようなものを選ぶようにしている。

いつも制作に向かう車から見える石造りの建物で、オリーブと松にかこまれた家がある。F6号の比較的小さなキャンバスに描いてみたのだが、プロヴァンスにはざらに見られるこんな風景で、たったこれだけの簡単な構成に過ぎないのに、こんなに難しく、これほど時間と制作回数のかかった絵も最近では珍しかったことを告白する。



# by papasanmazan | 2019-07-31 19:28 | 風景画 | Comments(2)

ポプラと教会





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本当に久しぶりに水彩画を描いた。水彩のあの軽やかさ、さわやかさは大好きで、描き出すと次から次に思いつくままに描いてみたくなるのだが、油彩の仕事におわれて最近はお留守になっていた。

水彩や鉛筆などを使ったデッサンなどを油彩の仕事のための習作(エスキース)だと考えたことはない。水彩は水彩としてそれなりの作品であるし、デッサンもまたしかりである。もちろんエスキースとして自分なりの考えをまとめたり、構図を練ったりするのにすばやく鉛筆などを使って描き留めたりはするが、水彩もデッサンも重要な作品である。

といいながらも水彩は本当に気持ちがいい。モルモワロンの教会の見える場所に久しぶりに出掛けて一枚描いてきた。以前はこの場所でよく描いたものだが、この周りも少しづつ建て込んできている。どの村も都市化を目指しているのか、以前の趣はなくなりつつある、せめて水彩で自分の思い出のためにだけでも描いておこうかとも思う。

# by papasanmazan | 2019-07-29 23:50 | 水彩画 | Comments(2)

赤い森の岩





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いつも制作の場にしている赤い森で、以前F20 号に描いたことのある構図のものをもう一度、ほぼ同じ地点、大きさは今回F15 号を縦型にして完成させた。

もう三年以上も前のF20号の前作になるが、岩や木々の扱いをもっとクローズアップして、全体の緊張感を高めてみたかったのである。そのことはずっと考え続けていたのだがなかなか改作の機会がなかった。久しぶりに見る現場はほとんど何の変わりもなく、イーゼルを立てる目印にしている石もそのままそこに置いてあった。

とにかく画面左に位置する赤い岩を大きく取り入れて、木々と対立させながら全体の調子を上げていった。赤い岩の扱いは以前に比べると軽く、気楽に色を重ねるだけで充分な気持ちになれるようになってきた。ここは制作の大切なところで、ある意味で知らないふりのままで放置するだけの度胸がもてるかどうか、下手なときに限ってあれでもない、これでもないと余計な絵の具の塗り重ねをしてしまうのである。それがまた全体に行き渡っていって、つまりは何の表情もない作品になってしまうのがオチである。


今回の作品ではなんとか岩の存在を木々が受けれるようになったと思う。

# by papasanmazan | 2019-07-24 18:20 | 風景画 | Comments(2)

立ち葵〔Ⅱ〕


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パステルでの前作立ち葵を描き終わってから、ずっともう一枚描こうと思っていた。より構成的で強さが明確に出るようなものを意図していたのである。もともとこの立ち葵の花は何か垂直感に根ざした強さと、余り飾り気のない素朴で野生的なところが好きだった。

いわゆる観賞用の上品な花を室内において描くよりも、戸外の野原や道端のごくありふれた花がいい。そこに自然の野趣を感じるからである。まだパステルで花を描き続けていくのなら、できるだけそういったものを扱ってみたいと思う。

構成的にしたいということで画面も大きくしてみた。前作が256×386mmだったのを今回のは370×445mmと、かなり大きな紙を用意した。色はおなじくグレーの紙である。立ち葵の垂直感を強調したくて茎の数を多くした。目を上下に誘いながら花の位置によって動きを全体に複雑にしていく。もちろんそこに花の色の響きあいを目論んでいくわけである。

前作にもましてこの立ち葵のパステルは描き込んだものになった。少しくどすぎるかなと思うくらいに描き込んだ、最後に自分に、もうここでおしまい、と声に出して完成させたものである。






# by papasanmazan | 2019-07-22 01:09 | パステル | Comments(2)

ひまわり畑〔Ⅱ〕


ひまわり畑〔Ⅱ〕_c0236929_18083445.jpg


ひまわり畑〔Ⅰ〕に続いて〔Ⅱ〕も完成した。これはP20号の大きさで、〔Ⅰ〕のF20号より細長い形である。ひまわりの畑が遠くまで広がって、横に流れた黄色全体が美しい。〔Ⅰ〕を描いている途中からその横いち面に広がった黄色をもっと主にしたものも描きたくなってP20号にも描き始めたものである。

〔Ⅰ〕で個々の花などを苦労しているので〔Ⅱ〕のほうは少し楽な制作になった、出来上がるのも若干速かった。こちらの横長の画面は個々の花というよりも黄色という色彩の面構成といってもよいかもしれない、描いている途中でも花自体よりも黄色の絵の具の扱いといった感じだった。ジョーヌ・ド・カドミウム・クレール(カドミウム・イエロー・ライト)という絵の具一本を相手にしているような制作である。

これが画面というものに関わってくる制作というものである。抽象といえば抽象かもしれないが、ヒマワリという花を使っている制作でもある。このあたりの機微は自分だけにしか分からない、なんとも説明のしようもない制作の実際である。




# by papasanmazan | 2019-07-18 03:08 | 風景画 | Comments(2)

カップと野の実





カップと野の実_c0236929_22403163.jpg


夏になるとあちらこちらで野の花や、野の実に出会う。野の実ももちろん野生で形は小さいものが多いが、色は大変にきれいである。梨なども食べられないが、市販のものと違って形がさまざまで、しかも小ぶりなので小さなキャンバスに描くのにはもってこいである。

そんな野の実と、これも大好きなカップを組み合わせてF0号の小さな絵を描いてみた。カップの赤の模様が果物の赤と響き合えばそれで満足できる、そんな描き始めの意図だったが、やはり絵画は色だけではなく形の問題が出てくる。

個々の果物やカップの置き方は最初に考えあげた上で描き始めるが、途中の色の関係でどうしてもモチーフになる物の角度や接点、接線の変形が必要になってくることがある。そうしないと見るものの目に落ち着いてこないのである。

いくらでも描き直していく。気に入るまで描き直していく、それしか方法はないのである。
小さな画面といえども制作の態度は変えようがない。

# by papasanmazan | 2019-07-15 17:45 | 小さな絵 | Comments(0)

立ち葵


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今まで描きたい、描きたいと思っていた立ち葵の花だが、ヒマワリと組み合わせたパステルを一枚描いただけである。他の制作に追われていく間に毎年季節が過ぎ去ってしまって、後悔ばかりしてきたが、今年こそはと意気込んでいた。

そういって見回していると以前なら道端のどこにでも咲いている立ち葵の花がなかなか見つからない。そしてやっと見つけてかと思うと今年の異常なフランスの熱波で花がどれも焼けたようにしおれてしまっている。

今まで毎年咲いていた場所を駆け巡ってやっと花のまとまった場所を見つけた次第である。パステルでさっそく一枚をものにした。これもほとんど野の花といってもいいのかもしれないが、何故か立ち葵には愛着がある。何とかもう少し大きな、もっと構成的なものも描いてみようと目論んでいる。






# by papasanmazan | 2019-07-12 22:24 | パステル | Comments(2)