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ふくれっ面





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30年以上も日本を離れていて、久しぶりの梅雨時、こんなにも湿度がこたえてくるとは今更ながら驚かされている毎日である。とにかく戸外での制作が全く出来ずに、気が腐るいっぽうである。おまけに大雨の土砂災害が近くの静岡県、熱海の方で起きたりして、この富士山のあたりはどうなのかと心配になったり、とまだまだ新しい生活に慣れないでいる。

こうなるとアトリエでの静物画がもっぱらの仕事になってくる。F6号のキャンバスにフランスから持ち帰ったふくれっ面の彫刻をモチーフにして構成したものを描いてみた。ふくれっ面の彫刻家はカルポーであるが、この他に女奴隷の模刻も持っているが、大変に腕のたつ彫刻家だと思う。

このふくれっ面の白、、その他にも白を基調にしたもので全体を構成した画面を考えたものである。この考えを以前にも試したことはあるのだが難しく、途中で断念したことがある。少しずつの色の加筆によって何とかおさまってきたようである。

# by papasanmazan | 2021-07-07 12:20 | 静物画 | Comments(2)

溶岩樹型の森(1)



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鳴沢村には国の天然記念物、溶岩樹型というものがあり、これを見つけた時は大いに画趣をそそられた。その昔、平安時代の864年に富士山の噴火があり、大量に流れでてきた溶岩があたりの大木を焼き尽くしたのだが、その焼かれた木の大きな幹の跡が土の中にそのまま形を残して現在に至っている。

深い緑の森の中に樹型の穴があったり溶岩がゴロゴロと重なっていたり、誠に神秘的な様相をしている。天然記念物に指定されている割には風穴や氷穴ほど観光客が多くはなく、制作するのにはもってこいの場所である。若いころ、三重県の鬼が城の岩の重なりを見た時に大変制作意欲に燃えたのだが,描く機会がなくってそのままになっていたのが、この溶岩樹型でようやく実現できるだろう、と本当にうれしかった。

おそらくこれは相当な数の連作になっていくような気がする。むしろこの溶岩樹型や、青木ヶ原の樹海などを巡って、色々なモチーフに出会っていけば総合して,富士の神秘、というようなシリーズが近い将来実現できるかもしれない。現在も既にもう二点この後に溶岩樹型を描き続けているが、この森の中にいると思わず古事記の世界に入ったような気がしてくる。あわてて本を読みなおしているところである。

F12号の油彩である。



# by papasanmazan | 2021-06-28 11:33 | 風景画 | Comments(2)

リンゴとパスワール


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日本へ帰国してから初めての静物画である。F3号と小さな画面ではあるが、かなり力の入った制作になった。フランスではマルシェなどで買ってきた果物がすぐに静物の画題になったのだが、どうも日本の果物になじむことが出来なくて、あれほど次から次に描いていた静物画から遠ざかっていた。

風景にしろ、静物にしろ、なかなか環境や条件が変わると、すぐに絵に出来るものではない。人物画は特に描きたいと思うのだが、モデルの関係などでなかなか描ける機会がない。特に肖像画は描いてみたいと思うのだが、自画像を試すくらいしか考えつかないのである。新しい環境には満足していて,これから徐々にモチーフも増えていくことだろう。しかしフランスにいた時の野生のリンゴや梨は望めそうもない。

ようやく小ぶりのリンゴを見つけ出して、以前から使っているパスワール(フランスの小さな茶こし)とを組み合わせて出来上がった静物画である。いったい静物画ができるのかどうかなどと危ぶんでいたので、少しホッとしたところである。



# by papasanmazan | 2021-06-24 08:51 | 静物画 | Comments(2)

赤松の林(3)






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赤松の林をF15号、P12号と二点制作してきたが、制作場所は同じところでもう一点、F10号に描いてみた。前二作が松の幹に目をむけていたのを、こんどはもっと枝の交錯や方向の構成に気を配ったものである。

この三作目のものが絵としては一番見やすいかもしれない。あるいは描き慣れたせいもあるかもしれないが、制作していてあまり滞りはなかった。実際の仕事としてそれぞれの画面に対する意図も違っているし、出来上がってくる作品の見栄えも様々なものになるのだろうが、同じ主題で連作していくのは有意義である。

一枚の完成品から続いて飛躍したものが次々に出来上がってくれば、これほど作家冥利につきるものはないだろうが、そううまくいくばかりではないだろう。駄作もある、退屈なものも出来上がる、色々と苦労もあるが、一定の水準を保つのはなかなか難しいことである。

# by papasanmazan | 2021-06-15 22:33 | 風景画 | Comments(2)

松と富士(紅葉台から)(1)




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紅葉台の展望台からの眺めは圧巻である。グルリと見まわしただけでも青木ヶ原の樹海や本栖湖、西湖なども姿が見えるし、遠くには日本アルプスの北岳も目に入ってくる。そしてお目当ての富士山がなんのさえぎりもなく威容を誇っている。手前の樹海から山容に這い上がっていく視線はほとんど触覚を感じるほどである。35年以上も前にこの景色を描いた時にはタブローという観念がこの景色のおかげでよく理解できるようになった。思い出の多い、そして有難い制作場所の紅葉台である。

その展望台を降りて、またそのあたりを見回すと今度は松と富士の重なりが何とも制作意欲を湧き立たせてくる。富士山と松の木の組み合わせなどというとちょっと俗な気もしてくるのだが、実物を見ているとやはり制作意欲の方が高まってしまう。それでF15 号のキャンバスに試してみることにした。

完全にその姿を現してくるのはなかなかない富士の山なので、どうしても制作は滞りがちになる。はじめ山頂を覆っていた雪もだんだん少なくなってきたが、そこは制作の経験でそれほど苦にはならない。かなり複雑な松やその他の木々の構成も少しずつ単純で、富士の姿との対照だけが問題になるように製作を進めてみた。部分、部分の説明ではなく、全体としての表現を心がけている。

# by papasanmazan | 2021-06-10 11:48 | 風景画 | Comments(0)