夕方の赤く染まったような富士の姿を描いてみた。F10号の油彩である。場所は何時も通っている柚野あたりで、家からも近くて制作にも都合がいい。大きな竹林もこの辺りには多く、棚田や富士など題材には事かかない有難い地域だとわかってきた。
南フランスでも家の前にあるヴァントゥー山の夕暮れの色彩に惹かれてよく絵にしたものである。フランス人はいつもあの赤く染まった山肌の色をモーブと言っていた。日本語で言えば赤紫が近いかと思う。富士山の夕暮れはどちらかというとオレンジに近いような気がする、何はともあれ美しい色彩である。 栁田国男の妖怪談義という本に夕方の時間の大切さ、なぜその一集落に他国者を警戒するゆえに夕方の暗くなった時間に「タソガレ」つまり誰ぞかれ、と問いかけて自分たちの集落の安全を図っていく、そういった語源を説明してくれている。そのおぼろげな、薄赤いような夕暮れの富士の姿も何か郷愁を感じさせられて好きである。 #
by papasanmazan
| 2024-03-29 08:52
| 風景画
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大きな画面(560×420mm)に相手も大きな竹林を収めてみた。このシリーズはいつもパステルである。さすがにこの大きさのパステルになると現場で二日かかってやっと仕上がった。パステルは思っているほど手軽でもなく、不器用な私は指が痛くなるほど描き込むことが多いので、若いころから疲れることが多かった。
この竹林も描き始めは割にスムースに柔らかくいったのだが途中からはいつものような力の入れようになり、最後には少し重すぎたかなと思われるほどの描き込みになった。しかしこういったものがあっていいと思う。 こういう作品が続きながらそれが経験になって後の制作につながっていくのである。一枚描いてそれがすぐにいい作品になるようなことはめったにないことである。要するにどこまでも集中して作品の向上を図っていくことなのだろう。竹林はまだまだ続く。 #
by papasanmazan
| 2024-03-26 10:28
| パステル
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220×150mmの小さな風景を水彩で描いた。四年前まで住んでいた南フランス、マザンの村の思い出の風景である。石造りの家で、家内はそこでペンションをしていた。足かけ16年そこに住んでいたのだが風景画の題材には事欠かなかった。ヴァントゥー山もその一つである。富士山のちょうど半分くらいの高さの山で、南仏の巨人と呼ばれ、南仏唯一のスキー場がある。家からも近いので毎冬家内はそこに出かけてスキーを楽しんでいた。
日本に戻ってからは山梨の鳴沢村にあるふじてんスキー場が本拠地に変わって相変わらずスキーを続けている。静岡に越してからもやはり車で通って、今年はずいぶん上達したようである。雪や富士山を見ているとふとヴァントゥー山を思い出す。 そしてオリーブである。南仏はいたるところオリーブ畑だった。これもなつかしい風景で、現在の家の庭にはオリーブを植えてもらうように注文した。小さな庭だが10本の木が植わって大変満足している。南フランスの思い出を少しは実現できそうである。 #
by papasanmazan
| 2024-03-22 23:00
| 水彩画
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自称「青木平の木こり」O氏が家までミカンを持ってきてくれた。人助けをするのが大好きな人で、我が家でも駐車場の予定地に大きく場所を占めていた木の根っこを三つ、どれも大変根深く、大きなやつをご自分の重機を運んできてくれて取り除いてくれたりした。その他にもいろいろと世話になっていて、ここに引っ越してきてよかったと家内といつも話しているのである。 そのO氏がもってきてくれたミカンに葉っぱのついたのがあって、これはどうしても絵のモチーフにしろ、ということなのかとピンときたのでさっそく二つをテーブルに置いて水彩を二枚描いてみた。どうも納得がいかない、そこで思い切って油彩に切り替えてみた。 F0号の小さなキャンバスだが描いていてなかなか骨が折れた作品である。時間もかかってようやく出来上がった。O氏の目にはどう映るのか、完成したことは完成したのである。 #
by papasanmazan
| 2024-03-20 13:37
| 小さな絵
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家の近くの柚野から白糸の滝にかけては棚田の多い所である。日本の狭い国土を考えると棚田が多いのはうなずけるが、あちらこちらで棚田の名所があるようで、この柚野もその一つである。その棚田の向こうに大きな森をはさんで富士が顔ををのぞかせている。日本の情緒を感じる風景である。 あまり名所、旧跡を描いてみたいと思ったことはないが、この富士と棚田には惹かれてF10号のキャンバスに描いてみた。棚田から発想される様な情感やなつかしさといったような感情を表現しようと思うのではなく、画面上の明確な構成の一つの要素として考えてみたかった。 画面上部におおいかぶさった富士の容量を手前に配置した左から右上がりの角度を持つ棚田で受けていこうと意図したものである。棚田の細部に至る段々などにはあまり重きを置かないようにした。 #
by papasanmazan
| 2024-03-16 17:27
| 風景画
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