<   2018年 05月 ( 8 )   > この月の画像一覧

アトリエの夫人とキリスト像



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久しぶりの人物画、F25号を描いてみた。モデルは家内で、赤い服、キリストの像が脇においてあるアトリエの実景である。鉢植えの花をたくさん置いていて緑の色にも困らない。このキリスト像は家内がかなり以前に気に入って買ってきたもので、顔やプロポーションがなかなかいいものである。


別に人物とキリスト像という対比に寓意などはなく、画面上の欲求から選んだものである。モデルの家内には出来るだけ楽なように籐の椅子に深く座ってもらって、画面の動きは徐々に、特に腕や肩、手などの位置で変化させていった。キリストの像ははじめからあまり描き込まないように、できるだけ軽く表現したいと思っていた。こういう添え物にばかり目がいって、深刻ぶった絵になるのは避けたいのである。


以前にもこの服を着た家内の肖像を描いているが、今回初めてこの赤の色の使い方を発見した。あまり赤、赤、と思わなくても出てくるものである。抑え気味にするということではなく、赤にこだわらないという気持ちがあれば充分だと分かった。一つの色のつかいかたのコツだと思う、これは大きな収穫である。

この絵も相当に描き込んだものになったが、見たところは割合にアッサリとしていて、そのあたりはいいとしておこう。





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by papasanmazan | 2018-05-31 17:14 | 人物画 | Comments(2)

バルーの村とヴァントゥー山




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先日のバルーの松と城に続いて、対になるM25号、バルーの村とヴァントゥー山の絵も出来上がった。アトリエで二枚の作品をそれぞれ額縁に入れて眺めているところである。独立した一枚の作品として制作していたが、やはり並べてみていると、以前から対称的な構図として考えていただけに、二枚一組も悪くないと思う。


まだ二十歳代半ば過ぎの頃、京都の市立美術館で鉄斎の大展覧会が催され、莫大な数の作品が並べられた.この期を逃してはならじ、と京都にしげしげと通って勉強させてもらった。その時に観た、阿倍仲麻呂明州望月図と円通大師呉門隠栖図、これは鉄斎七十九歳の時の作品で、6曲1双の屏風絵である。この左右対称になる作品が忘れられずにいて、二枚のバルーの絵の制作につながってきているわけである。


この鉄斎七十九歳の6曲1双の屏風絵を境にして八十九歳で亡くなるまでの晩年の傑作群が制作されていく、これは鉄斎にとってひとつのエポックであったといって作品である。八十五歳を過ぎた最晩年の作品と見比べると、まだこの6曲1双の屏風絵には若さが残り、絵としても硬さが見られる、しかし名品には違いない。ここから真の鉄斎が始まっていく、といっても過言ではないだろう

この経験が必要なのである、絶対絵画にいたるまでの一つのエポックを自分で切り開いていかなければならない、そんなことを考えながら出来上がったバルーの二枚の絵を眺めている。


 


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by papasanmazan | 2018-05-28 08:34 | 風景画 | Comments(1)

卓上の楽器



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静物画のモチーフに大好きな楽器を時々使うことがある。今回もF15号のキャンバスにクラリネット、コルネットそしてフルートと三つを組み合わせ、その他にポット、小さなカップ、緑や茶色の模様の布などを加えて、少し複雑な感じの作品を考えてみた。

とにかくこの一枚には時間が掛かった。制作の途中でほとんど一ヶ月以上もそのままにほったらかしておいた状態であった。組み合わせや、進み方は非常に気に入っていて、何の不足もなく進むはずのところが、平行して描いている風景画や、家内の肖像画など、それらを納得できるまで制作し終わらないとこの静物画を続けることが出来ない感じがして、自分としても何か腑に落ちないような制作過程であった。

一つ再開しようという段階になってから画面上の動きが大変に激しく変化しだしたのである。形の変化(デフォルマシォン)や省略、溶かし込み、また描き起こし、など続から続へと変化していった。

ひとくちにデッサンといっても何も正確に形を写すだけではない。画面全体の動きの中で個々の形は変わっていく、また画面上の実在感を求めて変形されたりもする。それらを総して制作というのである、ただ感覚もなく、感情の高揚もなく目の前のものの色や形を追うわけではない。

ヴァレリーの美術論、〔ドガ、ダンス、デッサン〕の中で引用されているドガの言葉、デッサンは物の形ではない.、物の形の見方である、これは大変に上手く言い当てたものだと思う。

出来上がった自分の作品にあまり執着もしないし愛着など感じることはほとんどないが、この静物画は珍しく自分ながらに気に入っている。特に苦労したポットのふたの上部の曲線は好きである。




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by papasanmazan | 2018-05-25 19:51 | 静物画 | Comments(2)

バルーの松と城




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南フランスに住んでもう15年になるが、いまだにその美しさは尽きないままでいる。初めてこんな近くにバルーの城があるのに気づいてから、角度をいろいろ変えながらかなりの数の油彩や水彩を描いてきている。なかでも城やバルーの村の全景が見渡せる小さな礼拝堂のある丘からは手前の松の林も取り入れた構図が格好で、大変に気に入った場所である。

最初にこの場所で制作したときのことは今でもよく覚えている。M25号の横型に城や村の俯瞰図を描いたのだが、喜び勇んで始めたものの、途中からその難しさに四苦八苦して、ようやくあえぎあえぎ仕上げたものだった。特に手前の松の重なりが難題であった。

以来この構図はもう一度必ずやってみようとづっと暖めていた課題である。それに加えてもう一枚、この城からづっと向かって右のほうに展開していく村の姿も松の林を配しながら描いてみる、つまり右双,左双の二双の油彩にしてみようという試みである。大きさは共にM25号である。

まずこの出来上がった城と松の絵であるが、最初に描いた時から十数年の隔たりがあるので進み方が完全に違ってきている。目の前のモチーフになる風景も、使っている材料の油絵の具や筆など何の変わりもないのだが、進むスピードがまるで違っているし描いている本人の心構えも遠くへだった感じがする。先日このブログに載せた笠松と丘のときに感じた一つのエポックと同じ感覚でつながっている制作である。何か同じ通奏低音がづっと鳴り続けていような気持ちでの制作であった。

右双の作品は五日ほど遅れた描きはじめで、今制作半ばである。




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by papasanmazan | 2018-05-21 02:49 | 風景画 | Comments(2)

バルーの村とヴァントゥー山



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いつも描いているヴァントゥー山は横に広がって雄大な形を見せている。南フランスの巨人と呼ばれるだけあって、その高さだけではなく山すその広がりなども含めて実に描き応えのある風景である。我が家の付近からだけでも今までに何枚のキャンバスを費やしてきただろうか。


そのヴァントゥー山も方角を変えてバルーの側から見るとぐっと違った形になってくる。まるで小型の富士山のような三角形が現れてくるのである。手前の丘などを合わせてみていくと精進湖から見た子抱き富士のような感じになっている。この風景も以前から描いてみたいと思っていたのだが、ようやくまとまった構図の場所が見つかった。バルーの村はずれの民家がいくらか見えていて色彩の変化につながり、糸杉がにょっきりと立っているのが垂直性を与えてくれる。


P12号に描き始めたのだが、やはりいつもの描き慣れたのと形が違うので制作の進み方が遅くなる。山の構造の面がなかなかつかみにくいのである。描き始めから数日たってようやく全体の構造がつかめてきた。一つ調子がつかめると後は割合にスムースにおさまっていく物である。こちら側からのヴァントゥー山,描く場所も選びながらもっと制作できるはずである。




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by papasanmazan | 2018-05-13 02:53 | 風景画 | Comments(0)

三つのリンゴ



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サムホール(22、7×15,8)の小さなキャンバスにリンゴを三つ並べて描いてみた。どこにでもある赤い、丸い、なんでもないリンゴであるが、これを小さな画面におさめていくのも思っているよりも難しいもので、空間や画面の構成などを考えていくのに大変に勉強になるものである。美術館の壁面に並べられた大画面も一つの作品なら、サムホールのような小さな画面に描かれたリンゴの絵もやはり一つの作品に違いない。


なるほどただ丸くて、赤いリンゴではあるが、意識してよく見ているうちにそれぞれに形の違いがあったりして何か人間と同じような性格の差というようなものに気づいてきたりする。色の変化だけではなく、各リンゴのもっている面の組み立てまで理解できるようである。キャンバスも小さく、モチーフも単純なだけにかえってそういった意識がはっきりと持てるのがいいところである。




一応の動きを考えて赤い筋模様の白い布を工夫して仕上げてみた静物画である。




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by papasanmazan | 2018-05-09 00:29 | 小さな絵 | Comments(0)

プロヴァンスの小屋



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今年の四月に完成したF10 号のプロヴァンス風景と同じ場所でもう一枚、笠松や糸杉、小屋など道具立てはまったく変わらずに、ほんの少しイーゼルの位置を変えたくらいで描いてみた。今度はP10号で、しかもフランスサイズのキャンバス、これは日本のP10号よりもまだ細長い形のキャンバスである。


先日のF10号を描いている時点でもう一枚もっと横長のものを描いてみたいと思っていたのがこの形をとらせることになった。モチーフに選んでいる笠松の横の広がりが前作とは違った狙いで、出来上がった作品もそれぞれの性格の強さ、弱さなどがくらべられそうである。


このように同じ場所、同じようなモチーフでも捉え方や、自分の創作意欲によってかなり表現が違ってくるものである。出来上がったものを見て絵を描いている本人も不思議な気持ちにさせられる時がある。





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by papasanmazan | 2018-05-07 01:06 | 風景画 | Comments(2)

イチゴのある静物




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今年もイチゴの季節がやってきた。フランス産はなんといってもカルパントラが名産地であるが、そのフランスのものが出回る前にスペイン産のものが市場に並べられる。これは値段が比較的安いが、食べるのには少し酸っぱ過ぎて、我が家ではまずこれらを大量のジャムにしておいて、その後カルパントラのイチゴを味わうことにしている。毎年の旬のイチゴが楽しみである。

そしてこの時期には白アスパラが出回っていて、これも楽しみである。食卓にならぶアスパラの回数を毎年、子供の時のクラス委員の選挙みたいに〔正〕でチェックしているのだが、今年はすでに八回、昨年は二十三回だった。まだまだ白アスパラを味わえそうである。


イチゴをモチーフに入れて、グラスや小さなカップなどとを組み合わせたF3号の小さな静物画を描いてみた。少しうるさくなりそうな気がしたが複雑な模様の布を背景にして全体を構成してみた作品である。途中でイチゴは何度も取り替えて、そのたびに口に入れて味わった。二重の楽しみの静物画である。





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by papasanmazan | 2018-05-05 23:11 | 静物画 | Comments(2)