<   2016年 04月 ( 6 )   > この月の画像一覧

オリーブの畑から

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F12号のキャンバスにいつものオリーブ畑の場所、サン・ピエール。ヴァッソルの村が遠くに見えている風景をまた描いてみた。オリーブの畑はプロヴァンスの野には至る所にあるが、いざ制作しようと思うとどうもこの場所が一番描きやすいように思う。

オリーブも周りの景色との取り合わせで面白みが違うだろうが、ここの傾斜は大きくヴォークリューズの平野や山並をとりこんでいけるので、のびやかな感じがして好きである。オリーブの間から見えるサン・ピエール・ヴァッソルの教会などもアクセントになってくる。

この絵を描いている途中、うしろの別のオリーブ畑の持ち主がちょっと挨拶に来てくれた。ゆっくり良いを描いてください、と言ってくれてからオリーブの枝の剪定を始め出した。若い二人の男女を連れてきている。どうやら農業の実習生らしい。選定の仕方を丁寧に教えながら肥料のこと、季節のこと害虫やその他の昆虫のことなど詳しく教えている様子である。専門的な言葉はわからないが、たとえば農薬の事でも、この農薬はヨーロッパ全体で禁止されているが現在フランスだけではみとめられている、しかし三年後にはフランスでも禁止されることになっていて、その時にはかわりにこの農薬を使うことになる、などいちいち詳しく教えながら剪定もさせている。

生きた現場での教育とはこういうものだと思ったのである。現在フランスでは教育、就職、住居のことなどで大きなデモの動きがある。テレビでみていても政府の見解はいつまでたっても理屈ばかりが先立って、国民を納得させるような実際的な動きがない。そんな時にこのオリーブ畑での実習は実に鮮やかな印象を与えてくれた。


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by papasanmazan | 2016-04-29 17:04 | 風景画 | Comments(0)

ミルク差しの静物

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F3号のキャンバスに錫製のミルク差しと湯のみ、レモンの組み合わせで描いた静物画である。できるだけ存在感を強めたものが描きたかったので今回は装飾性をなくす意味でも布の模様などもなくすようにした。色数も表面に現れててくるものは限られている。

最近の言葉でいえばスッピンの静物とでもいおうか、見た目には飾りも華やかさもないものである。ただ描き始めから大変に気合が入った一枚である。表面的には何気ない静物画かもしれないが、づっと意味あいの連続していく制作で、勉強になった。

描写と説明は違う、というようなことをよく批評会などできくがこの小さな静物画の制作の間、絶えずこの二つの違いが頭をよぎり、最終的にはますます画面というものが理解できたような気がしている。


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by papasanmazan | 2016-04-26 00:06 | 静物画 | Comments(2)

ヴァントゥー山とマザンの村

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小さな16・5×13cmの風景画、いわば手のひらサイズの水彩を描いてみた。気にいった水彩用の額縁があって、それにあわせて描いてみた一枚である。自宅のすぐ目の前の場所からで、いつも見慣れた風景ではあるが、これも気にいった場所である。

水彩やパステル画は作品が出来上がってから額縁や中のマットの大きさを決めていく場合が多いが、このように前もって決まった大きさに作品をあわせてゆくこともある。私はどちらかというと大きさが決まっている方が描きやすい。自然の中の風景を限定して、切り取っていきやすいからである。しかしほとんどの場合前者のあとでマットの大きさを決めるということになっている。

もっと水彩を描いてみたいと常々思っているのだが、つい油彩の制作が主になって水彩がはかどらない。しかし考えとしては水彩も油彩も同等だと思っている。決して油彩の習作として水彩を考えてはいないつもりである。げんにF30号の油彩で同じテーマのヴァントゥー山とマザンの村を描き始めているが、どちらにも思い入れは同じである、ただ表現手段が違っているだけの話である。


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by papasanmazan | 2016-04-20 18:11 | 水彩画 | Comments(2)

シオタ風景

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八日間の滞在で、午前はシオタ、午後はカシィと、二つの風景を描き分けた。シオタは前回とほぼ同じ場所で、手前の松を通して見える地中海とシオタの突き出た海岸の風景である。どうも海岸の先端にみえるクレーンなどが工業地ぽくってあまり気乗りがせず、ついつい手前の松でおおいたくなってしまう。

晴れた日の地中海の色は深くて美しい青色である。ところどころがエメラルドグリーンのような色にもなる。しかしそのままの色を画面に持ってくると海の部分だけが落ち込んでしまう。この辺りは相当に気をつけて検色してかからなければならない。

これがたんに実景を写していくのではないところである。また写真との違いでもある。特に画面上でヴァルールの正しさを求められるのもここの問題を解決せんがためである。ヴァルールについて正しく理解できているかどうかは大変に重要なところで、特に近代以降の絵画では意識的な問題になってくる。



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by papasanmazan | 2016-04-15 19:57 | 風景画 | Comments(2)

石切り場の家

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ボーセからサン・ジャンまでの細い道に沿って石切り場がづっと続いている。石を切りだした跡があらあらしく残っていて、その崖の下や石切り場の中にまばらに民家がみえる。今どきのチャチな作りの家ではなく、見ようによっては切りだされた岩そのものの塊りのようにも感じられたりする。しかしここにも生活の場がある。

普通にいった感情というようなものではなく、なにか絶対的な存在がそこにある。存在そのものであってけっしてセンチメンタルな感情など入る余地がない。このような風景が以前から描きたかったが難しかった。これも普通に言って風景画というようなものに落ち着かせたくはなかったのである。

何度目かの挑戦でようやく少し自分の思うところに近づいたようである。F10号の縦型である。目の前に迫った風景で、春から夏、秋にかけては手前の木々が緑に覆われて対面する風景がさえぎられてしまう。冬の葉っぱのない時期を狙うしかない場所である。季節から言ってなにかシーンとさせられる。雪舟の秋冬山水の冬の図を思い浮かべたりもする。


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by papasanmazan | 2016-04-14 12:56 | 風景画 | Comments(2)

カシィ風景

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昨年から始めた年に二回の地中海風景の制作、今年も四月の第一週目の八日間をシオタ、カシィで過してきた。昨年の経験で既に描く場所も見つけてあり、時間的にもじゅっくりと制作が出来た。但し天候はあまり思わしくなく、前半は雨こそ降らなかったが曇天、後半は強風が吹き荒れた。

いままでのカシィの風景は二枚ともカナイユ岬の絶壁からカシィの町と湾を見下ろした構図によるものだったが、今回は全く趣を変えたところから描いてみた。ずっとおとなしくて美しいカシィの遠望である。手前の教会のようにも見えるのはワイナリーの建物で、カシィの町に入る前に遠くからでもよく目につく建物である。

P12号のキャンバスである。イーゼルを立てている場所のすぐ後ろにも絶壁がせまっている。フランス語でいうシルクという半環状の絶壁である。制作の途中で話をしたお百姓さんが、あのシルクの真下から見下ろすともっときれいだ、この次はあそこから描いたらいい、と教えてくれたが、とても荷物を持って上がれるような勾配ではない。

木々の若葉が彩ってくれた景色であった。あちらこちらに目をめぐらせていくと、どの景色も絵にしたくなるような所ばかりで、目移りするとはまさしくこのようなことなんだろうと一人納得した次第である。



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by papasanmazan | 2016-04-10 18:49 | 風景画 | Comments(2)