<   2016年 03月 ( 8 )   > この月の画像一覧

ポットと果物

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このごろ気に入っているモチーフがホウロウ製のこのポットである。別にどういったような特別なものではないが、なんとなく絵にしやすいと言うのか、構図を組みやすいような気がしている。このポットにリンゴ二つと梨、それにいつもの茶碗とでP6号の静物画を試みてみた。

実はこの背景にある深い紺色の地に金の模様のある布をなんとかモノにしたかったのが本音である。この布は以前パリで買っていたもので、その時からいつも使ってみようと思いつつ、なかなか難しくて手にあまっていたものである。

この複雑な模様をうまくこなさないと他の主役になるモチーフがくわれてしまう恐れが充分にある、それが分かっていたので今まで躊躇していたのだが、ようやく少し解決したことがある。

模様にこだわるのではなく画面構成を優先させればいい、と気がついた。模様を独立して考えるのではなく画面の中に組み込んで、固有色も変化させていっていい、やはり全体感を重視すべきだ、この考えで試してみた制作である。


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by papasanmazan | 2016-03-29 17:43 | 静物画 | Comments(2)

プロヴァンスの平野眺望

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二年前の夏にモルモワロンの村の全景を横長のキャンバスに描いたことがある。かなり高い所から見下ろした村の全景を、拡がったプロヴァンスの平野を背景にしてパノラミックな視点でとらえてみた絵だった。それ以来、時々このような横に大きく展開する風景にも挑戦するようになったのである。

ともするとこのようなパノラミッツクな風景はただ次から次へと横に物が羅列されていくのを繋いでいくだけの、メリハリのない、また奥行きの乏しい画面になりがちで、それ以前はあまり興味がなかったものである。しかしプロヴァンスの大きな眺望に魅入られるにつれてこのような造形美にも気がつき始めたのかもしれない。

今回はバルーの高いところからの眺めで、いつもはこの風景の左に位置するお城を中心にした村の風景を既にかなりの数の作品にしてきたが、この拡がった平野や散在する村の風景は初めてである。750×375㎜の細長い特寸のキャンバスである。

横に広がっているからといって、そればかりに目をやってはいけないのである。必ず上下、左右の展開があり、又斜めにも動きがある。画面はそれらの総合でなければいけない。力感や流れ,、動感は一つの感覚だけで出来上がるものではない、そこにはリズミカルな、跳んだようなものが必要である。最近、芭蕉を読んでいて、そういった何か音の跳んだような表現に目覚まされだしている。


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by papasanmazan | 2016-03-28 19:07 | 風景画 | Comments(4)

赤い森と高い木

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今年になってから随分赤土の森での制作が増えている。同じような風景ばかりで曲もないのだが、まだまだ描いてみたいと思うところが見つかって、他人からするとまるで変質狂のように見えるかもしれないが、覚醒剤におぼれるよりかはましであろう。

この作品はP10号を縦型に使ったもので、高い木が何本も奥にそびえたっているようなところを絵にしたものである。この作品もかなり頭で整理しながら取捨選択をしながら描いた。全体的に乱雑に木が生えていて、実際にはこの絵のようには赤い岩と木々が構成されて見えている訳ではないのである。画面を作り上げるという観点を大切にして制作していった。

森で制作をしていると時々思い出すことが一つある。現在住んでいるプロヴァンスに越してくる前にエポンヌというパリ郊外の村に住んでいた時の話だが、家の近くの城跡が自然公園になっていて木立の多い深い森が広がっていた。あの頃はよくそこで制作したもので、お世話になった懐かしい森である。

あるときそこで絵を描いていると、若い男性が盛んに周りをうろついて、あちらの木を見たり、こちらで観察めいたように木を見上げたりしているのである。あまり気にしないようにしていたが時おりその人に目をやるととにかく木ばかりをみつめている。あまり風体も良くないので少しヒキ気味になっていたのだが、とうとうこっちにやってきて話しかけてくるのである。

自分は現在職を探しているのだが、自然の中の木が大好きである。本当に好きで、好きで,何か木に関係したような職はないものだろうかという話である。少し話しただけでもその人にウソはないと思った。何か非常に純粋なものを感じたのである。と言ってもこちらに相談の乗れるような話でもない、とにかく小さな村のことだからメリー{市役所}に行って相談してみたら、と勧めてみた。その後のことは知らないが、忘れられない森の制作の一こまである。


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by papasanmazan | 2016-03-23 17:48 | 風景画 | Comments(0)

アトリエのトルソ

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F15号のキャンバスにいつものお気にいりのトルソを描いてみる。静物画を始める時の楽しみの一つはモモチーフの選択である。トルソを描くのは決まっているが、さて何を相方に選べばいいか。まずはテーブルとその置く位置である。ちょうど暖炉の前が構成していくのに都合がいい。

ちょうど奥のほうにムスチエの大きな花瓶が置いてある。テーブルの右端の輪郭線とこの花瓶の接線をうまく利用できないものか。テーブルの上に色彩の押さえがほしい。ザクロを数個選ぶ。垂直の要素がほしい。ローソクとローソク立てをもってくる。トルソ、花瓶、ローソクのそれぞれの白を何とか響き合わせさせたいものだ。

少し背景にも抑え気味だが色がほしい。薄いグリーンの柄の布を襞をつけながら配置する。このようにして制作に入る前にああでもない、こうでもないとかなりの時間を取る。これが大切なところで、いい加減なところで初めて、あとはどうにかなるだろうと思っていると大抵は失敗に終わってしまう。

まだまだ表現力をつけねばならないと思うが、この絵はこれからの作品を積み上げていく上で一つの指針になると思う。


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by papasanmazan | 2016-03-19 16:57 | 静物画 | Comments(3)

笠松とプロヴァンスの農家

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イタリアの作曲家レスピーギの作品にローマの松というのがあるが、ローマに行くとあの美しい松がいやでも目にとびこんでくる。あれが笠松である。フランスではパラソル型の松という、だからやはり笠松である。その松はイタリアからコート・ダジュールの海岸線をこえてここプロヴァンスにも広がっている。

ほんとうに傘を差したような形で、いくつかポコポコと並んでいると思わずほほえみみたくなるような優しさがある。モデーヌの村の外れにそんな笠松と農家が重なり合っている所を見つけたのでサムホール(22.7×15.8cm)の小さなキャンバスに描いてみた。

農家と言ってもこの頃はみな外壁を塗りなおしたり、屋根をふきかえたりして色とりどりの新しい綺麗な外観に変わってきている。しかしやはり石造りの重みはあって絵ごころはそそられる。

まだうっすらとした緑ではあるが、晴れた日のプロヴァンスは空は輝き始めている。



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by papasanmazan | 2016-03-18 17:25 | 小さな絵 | Comments(2)

サントン人形と楽器

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F15号のキャンバスに家のサロンに飾ってあるサントン人形をアトリエにしばらく置いて、それに楽器などを加えたモチーフの構成で静物画を描いてみた。以前にもこの人形と楽器の組み合わせで制作したことがあるが、今回はフルートとコルネットを楽器に選んでいる。

布を効果的に使ってみたかった。絵の流れを強調するためである。形を作る上で融通のきく布は静物画の中で大いに活用されるものである。特に性格のある模様のある布だとか、縞模様のあるもの、それらを無地の布と対照させると一つの面白さが出来上がる。

但しあくまでも絵画の造形性が第一義なのであって、あまり装飾性にばかり気を取られると小手先だけの趣味的な作品になる恐れがある。人形や楽器、ポットやコップのそれぞれの存在が構成する一枚の画面をあくまでも心がけたつもりである。

ほんの部分的な表現ではあるが、老婆の人形が手に持っている小枝の束のところは今回はうまくいったように思う。前回ではあまりにも説明的で、かえってカチカチの描き方になってしまい、まるでそこだけ本物の小枝の束を貼りつけたようになったのを覚えている。

15号位の画面は少し描きごたえがあっていい。若いころは20号以下などの大きさはなんだか小さすぎて馬鹿にしかげんであった。


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by papasanmazan | 2016-03-11 18:52 | 静物画 | Comments(4)

赤い岩と大きな松

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これも赤い岩のシリーズの一つでF15号の油彩である。いつも制作場所にしている赤や黄土、オレンジ色の土と乱立した木々に囲まれた森の入口に大きな松の木がある。姿はいいのだが余りにも背が高すぎて、後ろに退がって距離をとってみるほどのスペースもない。絵の題材にするにはとにかく大きすぎてキャンバスに収めきれないとあきらめていた松の木である。

ここが一つの考えるポイントである。実際の物を見ただけではどうにもならないかもしれないが頭で考えなおしてみるのである。ルネッサンス期で大いに発達した遠近法というのは目を使った錯覚法、つまり視覚の重視である。目に近いところから遠くに行くに従って物の形が小さくなっていく。それに反してプリミティブ派絵画では知る、ということを重視する。近くにいる人物と遠くにある大きな城とでは目からの距離には関係なく城は大きく、人物は小さくあつかわれる。

つまり視覚と知識の違いなのである。この大きな松を描くにあたって私も知識を重視してみた。キャンバスの中に松をまず納めてみて、後は現実の大きさの比較を眼ではなく頭で整理しながら画面での配分を考えていった。

ある意味では総合的かもしれない制作方法である。何かまた一つの発展があるかもしれない。



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by papasanmazan | 2016-03-03 19:48 | 風景画 | Comments(4)

ギャリグーの白い道

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私たちの家はマザンという村の中心からは少し離れた場所にあり、ギャリグー地域と名付けられている。ギャリグー(garrigue)を辞書で調べると、地中海地方の石灰質の多い乾燥地帯、と出ている。要するに乾ききった、白っぽい土地なのである。ここマザンだけにかぎらずプロヴァンスのあちこちでギャリグーという標識を見ることがあるが、それほど南フランスは晴れた日の多い、乾いた土地柄なのである。

家の目と鼻の先にこの白い道が見える。今は舗装されたが、以前は真っ白な小石ばかりの道で、夏などは車が通るたびに白い煙のように見える砂塵を巻き上げていた。そんな道ではあるが少し小高い公園付近から見ているとなかなかに味がある。あちこちに走っている農道も畑を画してリズムミカルでいい。

このテーマはかなり今までにも描いてきたが、このM15号の油彩は久しぶりの制作である。早春でまだ緑の色が浅く、それらの色と褐色系などの対比がきれいなのに魅かれて描き始めたものである。



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by papasanmazan | 2016-03-01 17:24 | 風景画 | Comments(0)