カテゴリ:小さな絵( 43 )

野の実



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風景画の場所選びもなかなか大変である。有名な観光地や、人から聞いたいい場所というのをいざ自分の目で確かめてみても必ずしも気に入るとは限らないし、いつも制作している場所を他の人にすすめても、それがその人にとって制作に適しているかどうか分からない場合が多い。場所を選ぶというのも微妙なものである。


先日も車で制作に向かう途中、ああこのあたりから描いたらいいだろうな、というところを見つけた。帰りに車を止めて、その場所を色々検討してみるのだがどうしても気に入ったアングルが見つからない。車を走らせているところと、その脇に寄ったちょっとした違いで、絵にしようとする気持ちが違ってくるのである。何度も左右に視点を変えて探してみたがダメだった。


仕方なく停車したところに戻ってひょっと見ると、崩れた石造りの小屋の横に赤や黄色の小さな野の実がたくさんなっている。大変色がきれいで、まったく野生化した実である。風景は見つからなかったが静物画のいいモチーフが見つかった。


これも小さな砂糖つぼとグラス、置いてあったクルミなどを野の実を取り合わせてF0号の小さなキャンバスに描いてみた。





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by papasanmazan | 2018-07-26 19:33 | 小さな絵 | Comments(0)

三つのリンゴ



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サムホール(22、7×15,8)の小さなキャンバスにリンゴを三つ並べて描いてみた。どこにでもある赤い、丸い、なんでもないリンゴであるが、これを小さな画面におさめていくのも思っているよりも難しいもので、空間や画面の構成などを考えていくのに大変に勉強になるものである。美術館の壁面に並べられた大画面も一つの作品なら、サムホールのような小さな画面に描かれたリンゴの絵もやはり一つの作品に違いない。


なるほどただ丸くて、赤いリンゴではあるが、意識してよく見ているうちにそれぞれに形の違いがあったりして何か人間と同じような性格の差というようなものに気づいてきたりする。色の変化だけではなく、各リンゴのもっている面の組み立てまで理解できるようである。キャンバスも小さく、モチーフも単純なだけにかえってそういった意識がはっきりと持てるのがいいところである。




一応の動きを考えて赤い筋模様の白い布を工夫して仕上げてみた静物画である。




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by papasanmazan | 2018-05-09 00:29 | 小さな絵 | Comments(0)

リンゴと湯のみ





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フランスサイズのF2号の大きさに静物を構成してみた。日本ではあまり2号という大きさのキャンバスを使用しないし、またフランスサイズと日本サイズとは若干寸法が違ってくる。それで日本で額縁を調達する時にフランスサイズのキャンバスを用いていると大変面倒なことになる。これは戦前、日本が尺貫法を採用していたのを戦後メートル法に換わって、変わったのはいいとしてかつての実寸をそのままにメートル法に換算したために端数が出てきた、その端数の分がフランスサイズとの誤差になってきて、たいへんややこしいことになるのである。


ともあれこれは3号とサムホールの間の小さな画面である。そこにふたつのリンゴと湯飲み、それに布だけの単純な構成で、出来るだけ実在感のある静物画を目指してみた。実在感といってもモチーフになる対象物の、いわゆる質感や形態などの個々の真実味に迫っていこうというのではなく、画面全体としての存在感、絵そのものが存在しているといったような実在感のことを意図してみたものである。


結果的には単純化がすすんできているようで、あまり表面の美しさなどには目がいかなくなってきた。これはいいことなのかどうか、これからの判断になってくると思う。





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by papasanmazan | 2017-12-20 04:03 | 小さな絵 | Comments(2)

新しいマザン





F4号に描いたマザンの教会を先日このブログに投稿したばかりだが、同じくこの景色をもっと切り詰めてF0号の小さなキャンバスにおさめてみた。描いている場所は少し違って、道一つ隔ててもっと低いところである。視点が変わると表現の意欲も変わってくる。

そういうことは当然なのだろうがやはり新鮮さというのは大切なものである。前のF4号のものより締まった気持ちでこのF0号に取り組めた。見ている側からすればたいした変化があるようには思えないかもしれないが、描く者からするとこのちょっとした違いというものが重要事になってくる。

よく書籍などで縮刷版とかダイジェスト版とかいうものがあって、苦労して一大作品を読まなくても全編が分かるような仕組みの本がある。便利といえば便利かもしれないがそういった切り詰め方は絵画では不可能である。画面の大きさが変わればおのずと描かれた内容も違ってくる、そういう表現にならなければいけないと思う。単に縮小しただけのものではないのである。

トインビーの歴史の研究という本は縮刷版より完訳版のほうがずっと面白いと思う。


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by papasanmazan | 2017-09-13 06:49 | 小さな絵 | Comments(0)

パスワールとネクタリン



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パスワールつまり茶漉し器である。日本茶には使ったこともなく、形の面白さからただ静物画のモチーフとしてだけ使っている。あまり大きくはないので4号位までのキャンバスには上手くおさまってくれる。今回は三つのネクタリンと合わせてサムホールの作品にしてみた。

茶漉しの部分が動かせて、角度をつけることが出来るので、少しわざとらしくはなるが手前に傾けてみた。金属と果物の赤との対比はやはり描きどころになる。ただ三つのネクタリンをどういう配置にするかが考えどころであった。本来なら二つのネクタリンのほうが安定がいいのかもしれないが、あえてパスワールに接した一つを加えて変化を与えてみようとの意図である。

背景の複雑な模様の布も気に入ったものである。


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by papasanmazan | 2017-09-11 06:56 | 小さな絵 | Comments(2)

梨の静物

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テーブルに梨を三つ置いた構成で小さな油彩を考えてみた。背景として梨の薄い緑色の補色として橙色の布を選んでみる。細かい柄が入っていてあまりに橙色のきついのをやわらげてくれる。布の模様だけではなく大きなしわを作っているようなところも構成の一つになる。
静物画の楽しみはこういった選択や、自分の考えを表面的にも出していけるところである。逆に言うとその構成の方法が単純すぎたり、また複雑すぎたりして、描いていく技術と相いれないことが出てきたりもする、その難しさである。
モチーフに関しては常にアンテナをはっておくほうがいい。この橙色の布もずっと以前に見つけたものだが、なんとなく小さな静物画に使えそうな気がしていたものである。梨の色彩によくあってくれた。サムホールの小さな画面である。




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by papasanmazan | 2017-07-26 17:51 | 小さな絵 | Comments(2)

丘の農家

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大きな笠松と農家をP6号の大きさの油彩画に完成させてみたが、この農家がなかなか気に入っている。ほんの小さな丘の上にあるのだが,ガッチリとした骨組みの石造りの家で、飾り気はないが構成的な感じがする。こういう建物が好きである。

もう少し右から見ても。またうんと左側から見ても、距離をとって正面的に扱っても絵になると思って観察していた。今回は小さなサムホールのキャンバスに建物を主体にして描いてみた。

おそらく丘になっている地面の傾きと構造がはっきりしている建物の関係が自分の造型的な感覚とよく合致するのだろう、大変に仕事がしやすいし、よくはかどっていく。描いていて時間の経つのも忘れるくらいに面白い仕事である。

サムホールの大きさ(227×158cm)以上の強さが出ていれば成功だといえるだろう。



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by papasanmazan | 2017-07-04 03:46 | 小さな絵 | Comments(2)

ヴァントゥー山と丘の小屋

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小さなF0 号の油彩である。大きなヴァントゥー山を背景に丘の中腹にポツンと小さな小屋が建っている。人が住んでいるのでもなく、何かを置いているような様子もない。その小屋のあたりに人の気配もないのでいったい何のための建物かも分からない。しかし捨て置かれているにしては屋根も壁もきれいな色をしている。

ちょっともったいないような気もするので絵の題材にさせてもらった。大きな自然の中にある小さな小屋をキャンバスの規格としては一番小さなF0号に描いたのである。こうした大きな世界をうんと小さな画面に現すというのも一つの面白さである。

絵画の制作では画面の大きさを選ぶということが大変難しく、重要な要素になる。ただなんとなく描き始めるのではなく、この大きさで、こういう感じで仕事を進める、ということがはっきりしてからとりかかなければならない。そのあたりがアイマイだと仕事の完成まで何か引っかかったような制作になってしまう。



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by papasanmazan | 2017-06-06 03:22 | 小さな絵 | Comments(2)

サクランボの花の頃のマザン

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アーモンドの花に替わってサクランボの花が満開である。ちょっと外に出てみればあちこちの風景が白い花で彩られている。なんとなく眠いときに車で出かけるとハッと幻想的な雰囲気に包まれそうである。果樹園だけではなく町や村の家々の庭でも白い花がみかけられる。

マザンの村をとりまいている田園風景でもサクランボの花が今年はとりわけ白さが目について、教会や村の建物を遠望した構図によく映えたアクセントとしてこの白い花を取り入れてみた。いつもはパステルでこういった風景を描くが、今年は油彩にしてみた。サムホールの小さな画面である。

建物全体の色調と白い花の対比を考えている。花の群れが占める面積の中に垣間見える建物などの色が奥行きを表わすのにちょうどいい部分になって、それと教会などの色調が合わさって全体感が作られていく。

今年は例年よりも少し早い春の到来である。


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by papasanmazan | 2017-03-31 16:07 | 小さな絵 | Comments(2)

皿と二つのリンゴ

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小さな画面も大きな画面もおのおのがその中に持つ世界は、世界という意味において等価である。小さなスミレの花も大きなひまわりの花も美しさという意味では等価である。

F0号の小さなキャンバスにできるだけの大きさを盛り込みたいとの思いで白い皿の上にリンゴを二つ置いて描いてみた。テーブルには深い緑と黄色を組み合わせた模様の布を敷いている。

このような小さな制作品ではあるがどうにかして自分で納得のいく存在感が出したいと思っている。静物画だけにかぎらず風景画でも根の生えたような表現がしてみたいのである。あるいは美しくなくなるかもしれない危険をおかしてでもそういった存在感に挑戦したい。


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by papasanmazan | 2017-03-11 00:04 | 小さな絵 | Comments(0)