カテゴリ:小さな絵( 47 )

マザンの教会とヴァントゥー山

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在仏三十周年の個展を芦屋で無事に終え、一ヶ月ぶりにマザンに戻ってきた。多くの方々に作品を見ていただき、お話を伺ったり、近況をお知らせいただいたりして、いつものように充実した日本滞在であった。皆様方にお礼申し上げます。

十月の半ばに日本に発つ前から、この夏の大阪に大きな被害をもたらした台風で、ストックしていた額縁のかなりの数がだめになっているという情報が大阪の息子からもたらされていたので、それなりに覚悟はきめて一時帰国したものの、実情を見て愕然とした。二週間後に迫っている個展の準備と同時に被害にあった額の整理をしなおさなければならない。どこから手を付けたらいいのか最初はとにかく放心状態に近かった。

先ずは額でうまった家内と私の部屋を確保し、使える額を選び出し、個展のための新作を額装し、毎日やれるれることだけをする、ただそれだけの一ヶ月の日本滞在だった。


その間に神崎川の川岸にある大阪東淀川区の大型ごみ処理施設に申し込んで処理した古い額縁は210kgにのぼった。すべて自分たちで持ち込んで焼却してもらうのである。


いつもは少し余裕を持ってむかえられる作品の飾りつけも、やっとぎりぎりの日程の中で何とかこなした状態で、初日の三十周年を記念したささやかなオープニングパーティでも疲れた顔をお見せしていたのかもしれない、申し訳ありませんでした。


個展をするための帰ったのか、額の整理をしに帰ったのかよく分からないままにフランスに戻ってきたのだが、これからのメドは少しつかめたのは確かな今回の帰国であった。写真の絵はやはりこの個展に出品したサムホールのマザンとヴァントゥー山である、今は家からこの実景がよく見えている。




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by papasanmazan | 2018-11-16 20:11 | 小さな絵 | Comments(0)

サン・ピエール・ヴァッソルの村


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モデーヌの村に隣接したところにサン・ピエール・ヴァッソルという、これも小さな村がある。どちらも素朴で南仏らしいたたずまいの美しい風景を見せてくれる。先日投稿したモデーヌの村というサム・ホールの絵とともにこれも小さなF0号のキャンバスに、手前に大きな農家を取り入れて、村を遠望したところを描いてみた。

この構図は以前にも描いたことがあるし、もっと上から60号大のサイズで制作したこともある。その頃は手前の農家が改築される前で、もっと風情があったように思う。今は屋根や壁が新しくきれいになって、住むのには改善されていいのだろうが、絵の題材としては前のほうが趣があった。

しかし奥に見える村はいつもどうりの優しい姿を保ってくれているのがうれしい。


秋の個展のご案内☞ https://artakaya.exblog.jp/29771643/ 







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by papasanmazan | 2018-10-10 18:43 | 小さな絵 | Comments(1)

モデーヌの村


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サムホールのキャンバス、0号に続いて小さなサイズだが、それにモデーヌという、これも小さな村の風景を描いてみた.南仏特有の鐘楼が魅力的な村で、いつもはこの鐘楼や平べったい教会の姿を構図に入れながら描くのだが、今回はもっと北のほうへ離れた遠いところから農家の存在を引き立たせながら制作してみた。

農家を通してあざやかな緑の畑が縦横に視線をひっぱっていってくれる。こういう風景はもちろんどこにでも見られるものだろうが、なんだか懐かしく,悠久なものを思い出させてくれるようで、以前からあこがれていた構図である。なんでもない内容だが,割合に描いてみて難しいものである。

余りしつこく描くのではなく、できるだけアッサリと見せる、それでいて構成の中で重要な部分を占める、これはやはり難しいコツだと思う、また難しいと分かっていたので少し躊躇していたものである。今後ももっと大きな画面にまで発展させていきたい風景画である。


秋の個展のご案内☞ https://artakaya.exblog.jp/29771643/ 
 




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by papasanmazan | 2018-10-02 18:36 | 小さな絵 | Comments(2)

梨とワイン杯


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幸田露伴の小説〔望樹記〕の書き出しは、年をとるとケチになる、である。同じように絵を描いていて、年をとるとヘンクツになる、というわけでもないのだが、最近かなり小さなキャンバスに普通で言えば大きすぎたり、個数が多すぎたりするようなモチーフを組み合わせたような静物画や、見晴らしの利く広大な眺望をおさめたような風景画を描いてみようと思うことが多くなった。


体力的に大きな画面が無理になったということはまだ感じないし、どちらかというと小さなキャンバスのほうが難しいと思うので、どうして小さな画面を試してみようとするのか分からないのだが、それほどヘンクツな考えはしていないつもりである。


そういったところでF0号のキャンバスに梨を二つとワインの杯、これは陶製のものだが、これを組み合わせて、それぞれの動きを強調してみたくて描いた静物画である.背景は小さな画面があまりうるさくなるのをひかえるために黒とグレーの縞模様の布を置いている。この布も気に入ったものである。





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by papasanmazan | 2018-09-28 18:56 | 小さな絵 | Comments(2)

野の実



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風景画の場所選びもなかなか大変である。有名な観光地や、人から聞いたいい場所というのをいざ自分の目で確かめてみても必ずしも気に入るとは限らないし、いつも制作している場所を他の人にすすめても、それがその人にとって制作に適しているかどうか分からない場合が多い。場所を選ぶというのも微妙なものである。


先日も車で制作に向かう途中、ああこのあたりから描いたらいいだろうな、というところを見つけた。帰りに車を止めて、その場所を色々検討してみるのだがどうしても気に入ったアングルが見つからない。車を走らせているところと、その脇に寄ったちょっとした違いで、絵にしようとする気持ちが違ってくるのである。何度も左右に視点を変えて探してみたがダメだった。


仕方なく停車したところに戻ってひょっと見ると、崩れた石造りの小屋の横に赤や黄色の小さな野の実がたくさんなっている。大変色がきれいで、まったく野生化した実である。風景は見つからなかったが静物画のいいモチーフが見つかった。


これも小さな砂糖つぼとグラス、置いてあったクルミなどを野の実を取り合わせてF0号の小さなキャンバスに描いてみた。





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by papasanmazan | 2018-07-26 19:33 | 小さな絵 | Comments(0)

三つのリンゴ



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サムホール(22、7×15,8)の小さなキャンバスにリンゴを三つ並べて描いてみた。どこにでもある赤い、丸い、なんでもないリンゴであるが、これを小さな画面におさめていくのも思っているよりも難しいもので、空間や画面の構成などを考えていくのに大変に勉強になるものである。美術館の壁面に並べられた大画面も一つの作品なら、サムホールのような小さな画面に描かれたリンゴの絵もやはり一つの作品に違いない。


なるほどただ丸くて、赤いリンゴではあるが、意識してよく見ているうちにそれぞれに形の違いがあったりして何か人間と同じような性格の差というようなものに気づいてきたりする。色の変化だけではなく、各リンゴのもっている面の組み立てまで理解できるようである。キャンバスも小さく、モチーフも単純なだけにかえってそういった意識がはっきりと持てるのがいいところである。




一応の動きを考えて赤い筋模様の白い布を工夫して仕上げてみた静物画である。




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by papasanmazan | 2018-05-09 00:29 | 小さな絵 | Comments(0)

リンゴと湯のみ





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フランスサイズのF2号の大きさに静物を構成してみた。日本ではあまり2号という大きさのキャンバスを使用しないし、またフランスサイズと日本サイズとは若干寸法が違ってくる。それで日本で額縁を調達する時にフランスサイズのキャンバスを用いていると大変面倒なことになる。これは戦前、日本が尺貫法を採用していたのを戦後メートル法に換わって、変わったのはいいとしてかつての実寸をそのままにメートル法に換算したために端数が出てきた、その端数の分がフランスサイズとの誤差になってきて、たいへんややこしいことになるのである。


ともあれこれは3号とサムホールの間の小さな画面である。そこにふたつのリンゴと湯飲み、それに布だけの単純な構成で、出来るだけ実在感のある静物画を目指してみた。実在感といってもモチーフになる対象物の、いわゆる質感や形態などの個々の真実味に迫っていこうというのではなく、画面全体としての存在感、絵そのものが存在しているといったような実在感のことを意図してみたものである。


結果的には単純化がすすんできているようで、あまり表面の美しさなどには目がいかなくなってきた。これはいいことなのかどうか、これからの判断になってくると思う。





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by papasanmazan | 2017-12-20 04:03 | 小さな絵 | Comments(2)

新しいマザン





F4号に描いたマザンの教会を先日このブログに投稿したばかりだが、同じくこの景色をもっと切り詰めてF0号の小さなキャンバスにおさめてみた。描いている場所は少し違って、道一つ隔ててもっと低いところである。視点が変わると表現の意欲も変わってくる。

そういうことは当然なのだろうがやはり新鮮さというのは大切なものである。前のF4号のものより締まった気持ちでこのF0号に取り組めた。見ている側からすればたいした変化があるようには思えないかもしれないが、描く者からするとこのちょっとした違いというものが重要事になってくる。

よく書籍などで縮刷版とかダイジェスト版とかいうものがあって、苦労して一大作品を読まなくても全編が分かるような仕組みの本がある。便利といえば便利かもしれないがそういった切り詰め方は絵画では不可能である。画面の大きさが変わればおのずと描かれた内容も違ってくる、そういう表現にならなければいけないと思う。単に縮小しただけのものではないのである。

トインビーの歴史の研究という本は縮刷版より完訳版のほうがずっと面白いと思う。


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by papasanmazan | 2017-09-13 06:49 | 小さな絵 | Comments(0)

パスワールとネクタリン



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パスワールつまり茶漉し器である。日本茶には使ったこともなく、形の面白さからただ静物画のモチーフとしてだけ使っている。あまり大きくはないので4号位までのキャンバスには上手くおさまってくれる。今回は三つのネクタリンと合わせてサムホールの作品にしてみた。

茶漉しの部分が動かせて、角度をつけることが出来るので、少しわざとらしくはなるが手前に傾けてみた。金属と果物の赤との対比はやはり描きどころになる。ただ三つのネクタリンをどういう配置にするかが考えどころであった。本来なら二つのネクタリンのほうが安定がいいのかもしれないが、あえてパスワールに接した一つを加えて変化を与えてみようとの意図である。

背景の複雑な模様の布も気に入ったものである。


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by papasanmazan | 2017-09-11 06:56 | 小さな絵 | Comments(2)

梨の静物

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テーブルに梨を三つ置いた構成で小さな油彩を考えてみた。背景として梨の薄い緑色の補色として橙色の布を選んでみる。細かい柄が入っていてあまりに橙色のきついのをやわらげてくれる。布の模様だけではなく大きなしわを作っているようなところも構成の一つになる。
静物画の楽しみはこういった選択や、自分の考えを表面的にも出していけるところである。逆に言うとその構成の方法が単純すぎたり、また複雑すぎたりして、描いていく技術と相いれないことが出てきたりもする、その難しさである。
モチーフに関しては常にアンテナをはっておくほうがいい。この橙色の布もずっと以前に見つけたものだが、なんとなく小さな静物画に使えそうな気がしていたものである。梨の色彩によくあってくれた。サムホールの小さな画面である。




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by papasanmazan | 2017-07-26 17:51 | 小さな絵 | Comments(2)