カテゴリ:風景画( 331 )

プロヴァンスの風雪


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私たちが住んでいるマザンから近いところで、いかにもプロヴァンスの感じがする場所といえばバルーの城のある辺りの開けた眺望と、モルモワロンの緑に覆われた平野からみるヴァントゥー山の姿、これらが代表しているような気がする。大きく広がったこれらの風景はいかにも豊かで、地のぬくもりを私たちに伝えてくれる。


これもバルーの建物を描いていた時に経験した話である。オリーブに囲まれた、もう人は住んでいないが、かつてはなかなかしっかりした家だっただろうと想像できるような、一部崩れたような建物が残っていた。壁のぶぶんは石造りそのままの色なのだが、ところどころに名残のオレンジ色が見えている。


建物の構成もしっかりしているし、周りの丘やオリーブとの組み合わせも制作欲を駆り立てるものだった。先日のプロヴァンスの農家と同様にマザンに引っ越してきてすぐにこの建物の絵も描き始めていたのである。そんなある日、一人の男性が、かなりの老齢だったが、制作している私に近寄ってきて話をしはじめた。


この建物はかつては自分の住んでいた家で、随分古いもので、修復するお金がなくってそのままにしている内にとうとう住めなくなってしまった。今は違うところに子供と暮らしているが、建物はますます崩れていく。それが悲しくて役所にその話をしたら、寄贈してくれるのなら役所がそのまま保存してくれる、ということだったそうである。


その老人は喜んで寄贈し、役所のほうでも少しずつ保存状態を改良して、今でも何か古いよき時代を思い出させるような光景を残していてくれる、そんな美しい話である。その人の話も年齢のためか、大分たどたどしかったが表情は非常に輝いていた。今はどうされているのだろうか、この建物を見るといつもそのその風雪を感じるのである。F10号の油彩にしてみた。





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by papasanmazan | 2018-07-11 15:51 | 風景画 | Comments(1)

プロヴァンスの農家



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プロヴァンスに住んでからすぐに目をひいたのがこのバルー辺りの風景で、なるほどこれがプロヴァンスの景色なんだと納得して、さっそく制作に掛かったのである。もちろん予想もしていなかった立派なお城もあるし緑が豊富で、所々に見えるオレンジ色の農家が色彩感を強めてくれる。


そんななかでも特に魅力的だったのがこの農家である。15年ほど前は無人の家で、荒れ果てていて、自由に中に入って絵を描いたりも出来たものである。この建物自体も特徴的だし、そこからの眺望もまったくプロヴァンスの風景という感じがして毎日出かけていた。


そんなある日、近くの畑でトラックターにのって農作業をしている人が絵を描いているところまでやってきた。そしてじっと私の絵を見ながら色々とお互いに話をしだしたのである。その頃私は戸外で制作するときでもいつもCD持参で、クラシッツク音楽を聴いていたのだが、その人もじつはクラシックファンだったのである。モーツァルトやその他、とくにピアノのリパッティが好きだと興奮気味に話していた。このあたりでそのようなクラシック音楽が話せるなんてめずらしいと喜んでいた。


その他にも、その息子さんが今医者のインターンの時期で、そのために百姓の仕事がやめられないとか言っていた。その人の畑はこの横のところなのだが、住んでいる家はかなり離れたところにある、だからこの空き家を買って住み変えたいのだ、ただこの家を買うのは安価なのだが改築するのに大変な費用が掛かる、と悩み顔だった。


その後しばらくして、誰が買ったのか知らないが、随分改修されて、今ではきれいで立派な農家になっている、頑丈な門が立てられ、常に鍵が閉まっていて、とても中に入って制作することは出来なさそうである。





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by papasanmazan | 2018-07-03 00:39 | 風景画 | Comments(1)

オリーブの林



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いよいよ暑さが到来で、オリーブの林の中で制作していてもセミの鳴き声が日に日に多くなってくる。昨年の夏の連日五日間、40℃以上の記憶がまだ抜けきれず、今年はどうなるかと少し気になるところである。ただイーゼルを立てるのに適当な木陰さえみつかれば戸外での制作も大丈夫である。オリーブの林は有難い場所である。


F12 号にオリーブの木々と、何に使っていたのか今では分からない古い小さな塔のような建物が残されているのをあわせて描いてみた。近くに小さな川が、ほとんど水も流れていないようなものだが、その川に関係した建物かも知れないのだがポツンと無表情なのがオリーブの緑と意外とよく映え合って、静かな落ち着いた感じの画面になったように思う。


オリーブを描くのににようやくなれてきた。そして林の中にいると気持ちが随分落ち着いて、快いのである。





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by papasanmazan | 2018-06-29 14:58 | 風景画 | Comments(0)

樹間の城


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南フランスに越して来る前にパリの郊外、エポンヌという村に家族で十五年間ほど住んでいたが、そこの城跡の自然公園で、特に冬の期間、木々の幹とその間から見える遠景を組み合わせた構図の作品を沢山描いていた。題して樹間、思いで深いテーマである。これらの作品でかなり絵画上の進歩もしたように思う。


そしてこの樹間シリーズの終わり頃に自分の人生にも大きな転機になった出来事が起きたのである。若い頃から、酒をあおり、タバコを大量にに吸ってまったく手のつけられないような不健康な生活を長年に渡っておくっていたのである。ほとんど家族からも見放されるくらいの状態であった。いくら禁酒を試みてもダメ、続かない、タバコをやめようとしても続かない。そんな毎日であった。


そんなある年の私の誕生日に、娘が、お父さん、はいプレゼント、とくれたのが禁煙用のニコパッチだった。これはどうしてもやめないわけにはいかない、と決心してようやくタバコはおさまった。それからしばらくして、酒に酔った状態で階段から落ちて手首を骨折した、その時にとうとう酒をやめる機会がめぐってきた、とすぐに思った。本当に痛い経験だったが、ちょうどその時期に家内がアルコール依存症のサイトを色々集めて研究したものを私に、一度読んでみて、と渡してくれた。


酒とタバコから離れようとした時に、とにかく樹間の最後の制作に没頭しようと頑張ってみた、苦しいのは苦しかったが何とか切り抜けた。


そのエポンヌの時の樹間とはまったく違った図柄だが、大きな姿のいい二本の松の間から見えるバルーの城で、F20号の油彩である。





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by papasanmazan | 2018-06-26 19:21 | 風景画 | Comments(2)

糸杉とオリーブの林


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今までにもオリーブの木や林などを時々描いてきたが、偶然いい場所が見つかって、今年の予定とは大きく違ってオリーブを主題にした作品を何点か描いている。プロヴァンス地方だからオリーブはどこに行っても一般的なのだが、いざ絵にするとなると周りの風景なども気になってくるところなので、どこでも即、制作、というわけにはいかない。


ちょうどバル-の近くに小さいながらよく見晴らしのきくオリーブの林があって、いろんな角度から制作できそうである。今まで横を何度も通ってはいたのだが中に入ってまでは見ていなかった場所である。


その中にオリーブに囲まれて糸杉が立っている。空にもオリーブの葉がかかっていて全体が緑色につつまれた景色である。F15号の油彩にしてみた。オリーブの葉の白い反射したようなトーンに気をつけながらの制作であった。





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by papasanmazan | 2018-06-20 01:27 | 風景画 | Comments(0)

バルーの村とヴァントゥー山




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先日のバルーの松と城に続いて、対になるM25号、バルーの村とヴァントゥー山の絵も出来上がった。アトリエで二枚の作品をそれぞれ額縁に入れて眺めているところである。独立した一枚の作品として制作していたが、やはり並べてみていると、以前から対称的な構図として考えていただけに、二枚一組も悪くないと思う。


まだ二十歳代半ば過ぎの頃、京都の市立美術館で鉄斎の大展覧会が催され、莫大な数の作品が並べられた.この期を逃してはならじ、と京都にしげしげと通って勉強させてもらった。その時に観た、阿倍仲麻呂明州望月図と円通大師呉門隠栖図、これは鉄斎七十九歳の時の作品で、6曲1双の屏風絵である。この左右対称になる作品が忘れられずにいて、二枚のバルーの絵の制作につながってきているわけである。


この鉄斎七十九歳の6曲1双の屏風絵を境にして八十九歳で亡くなるまでの晩年の傑作群が制作されていく、これは鉄斎にとってひとつのエポックであったといって作品である。八十五歳を過ぎた最晩年の作品と見比べると、まだこの6曲1双の屏風絵には若さが残り、絵としても硬さが見られる、しかし名品には違いない。ここから真の鉄斎が始まっていく、といっても過言ではないだろう

この経験が必要なのである、絶対絵画にいたるまでの一つのエポックを自分で切り開いていかなければならない、そんなことを考えながら出来上がったバルーの二枚の絵を眺めている。


 


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by papasanmazan | 2018-05-28 08:34 | 風景画 | Comments(1)

バルーの松と城




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南フランスに住んでもう15年になるが、いまだにその美しさは尽きないままでいる。初めてこんな近くにバルーの城があるのに気づいてから、角度をいろいろ変えながらかなりの数の油彩や水彩を描いてきている。なかでも城やバルーの村の全景が見渡せる小さな礼拝堂のある丘からは手前の松の林も取り入れた構図が格好で、大変に気に入った場所である。

最初にこの場所で制作したときのことは今でもよく覚えている。M25号の横型に城や村の俯瞰図を描いたのだが、喜び勇んで始めたものの、途中からその難しさに四苦八苦して、ようやくあえぎあえぎ仕上げたものだった。特に手前の松の重なりが難題であった。

以来この構図はもう一度必ずやってみようとづっと暖めていた課題である。それに加えてもう一枚、この城からづっと向かって右のほうに展開していく村の姿も松の林を配しながら描いてみる、つまり右双,左双の二双の油彩にしてみようという試みである。大きさは共にM25号である。

まずこの出来上がった城と松の絵であるが、最初に描いた時から十数年の隔たりがあるので進み方が完全に違ってきている。目の前のモチーフになる風景も、使っている材料の油絵の具や筆など何の変わりもないのだが、進むスピードがまるで違っているし描いている本人の心構えも遠くへだった感じがする。先日このブログに載せた笠松と丘のときに感じた一つのエポックと同じ感覚でつながっている制作である。何か同じ通奏低音がづっと鳴り続けていような気持ちでの制作であった。

右双の作品は五日ほど遅れた描きはじめで、今制作半ばである。




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by papasanmazan | 2018-05-21 02:49 | 風景画 | Comments(2)

バルーの村とヴァントゥー山



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いつも描いているヴァントゥー山は横に広がって雄大な形を見せている。南フランスの巨人と呼ばれるだけあって、その高さだけではなく山すその広がりなども含めて実に描き応えのある風景である。我が家の付近からだけでも今までに何枚のキャンバスを費やしてきただろうか。


そのヴァントゥー山も方角を変えてバルーの側から見るとぐっと違った形になってくる。まるで小型の富士山のような三角形が現れてくるのである。手前の丘などを合わせてみていくと精進湖から見た子抱き富士のような感じになっている。この風景も以前から描いてみたいと思っていたのだが、ようやくまとまった構図の場所が見つかった。バルーの村はずれの民家がいくらか見えていて色彩の変化につながり、糸杉がにょっきりと立っているのが垂直性を与えてくれる。


P12号に描き始めたのだが、やはりいつもの描き慣れたのと形が違うので制作の進み方が遅くなる。山の構造の面がなかなかつかみにくいのである。描き始めから数日たってようやく全体の構造がつかめてきた。一つ調子がつかめると後は割合にスムースにおさまっていく物である。こちら側からのヴァントゥー山,描く場所も選びながらもっと制作できるはずである。




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by papasanmazan | 2018-05-13 02:53 | 風景画 | Comments(0)

プロヴァンスの小屋



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今年の四月に完成したF10 号のプロヴァンス風景と同じ場所でもう一枚、笠松や糸杉、小屋など道具立てはまったく変わらずに、ほんの少しイーゼルの位置を変えたくらいで描いてみた。今度はP10号で、しかもフランスサイズのキャンバス、これは日本のP10号よりもまだ細長い形のキャンバスである。


先日のF10号を描いている時点でもう一枚もっと横長のものを描いてみたいと思っていたのがこの形をとらせることになった。モチーフに選んでいる笠松の横の広がりが前作とは違った狙いで、出来上がった作品もそれぞれの性格の強さ、弱さなどがくらべられそうである。


このように同じ場所、同じようなモチーフでも捉え方や、自分の創作意欲によってかなり表現が違ってくるものである。出来上がったものを見て絵を描いている本人も不思議な気持ちにさせられる時がある。





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by papasanmazan | 2018-05-07 01:06 | 風景画 | Comments(2)

笠松と丘





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赤い岩を描きに行く道の途中で笠松が群れをなしているところがあって、いつもは横目で眺めながら車を走らせているのだが、先日ちょっとした脇道を見つけたので中にまで入ってみた。そこには急に開けた景色が展開していて、横目で眺めた笠松が堂々と目の前に並んでいた。その向こうにはいつものブローヴァックの丘が見えている。


大変に意欲をそそられた風景でさっそくP15号のキャンバスに制作を始めた。相当に描きこんだ画面になって完成したのだが、とにかく集中しきった時間の連続であった。毎回の制作の間もほとんど休憩することもなく、意識が完全に画面に向かっていた。


いままですでに何十年と制作してきたわけだが、この一枚は自分としては一つのエポックになると思う.作品の出来ばえがどうのこうのということ以上に、今まで制作してきたことの集約がこの一枚に出てきていると言える。


べつに感慨に浸っているわけではないが、とにかくこれからが大切だと思っている。




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by papasanmazan | 2018-04-21 00:53 | 風景画 | Comments(2)