
富士の山が奥に見えて手前に竹林を配する構図をずっと考えていた。昨年描こうと思っていた場所はパステル画に向いていて、富士の山頂に雪が積もったらすぐにも始めるつもりでいたのだが、あいにく脳梗塞に引っかかってしまい、これからの仕事になってしまった。そうこうするうちに新しく富士と竹林がうまくかみ合う場所を別の所で見つけ出した。こちらは油彩向きだと直感している。たとえばパステルでかくことを想定すると竹林は風にそよいでいるような姿を、そして富士はその冠雪の美しさを出して二つの対比の表現を狙うところだろう。ところがこの第二の油彩画では全くそういう個々の表現は考えておらず、ずいぶん自分なりのイデーにかたよった制作に踏み切ろうと制作に取り掛かったものである。
F12号のキャンバスに表そうとするのは踊って、歌ったような竹林ではない、黄色や深い緑、ブルーなどに彩られた色面であり、見方によるととても竹林とは思えないようなものかもしれない。富士もその山肌だけに目が向けられて、一般に思う美しい姿ではない。単なる物の描写や説明を廃し、画面を色彩と携帯だけで突き詰めていきたいのである。
出来上がったものはまだまだ意に満たない物ではあるがこれも仕方がないことであろう。とにかく自分のイデーを遂行していくしかない。