
我が家から車で10分位で行ける柚野、富士山が眼前に拡がり、棚田もあわせて絵の題材にもってこいの場所である。今までにもF15号の油絵や、その時々に水彩を描いてきた。またパステルによる竹林も何点かはこの柚野での制作である。三月、四月は梅や桜、桃の花など色とりどりににぎわっている。
今年の春はあまり天候に恵まれなかったが、春霞や曇り日を何とかしのぎながらP15号の油彩を仕上げたところである。制作日数はかなりかかったが、今までの制作とは違った成果を得たような気がしている。
いつまでも、どこまでも現場でイーゼルを立てての制作ではあるが、目前にある現風景と制作している自分との関係が以前とは違ってきている。自分の見ている空間とは別なイデーが画面に加わるようになってきた。色と形という基礎的な知識ではとらえきれない物がそこにある、画面は実在する風景とは異なってくるのである。そして若いころから理想に考えていた、画面の規定面から奥にその創られた空間は広がるのである。決して規定面から前には進んでこないのである。