
日本に帰国して山梨に住み始めたころ、以前から堀辰雄などの本でよく耳にしていた八ヶ岳を是非描いてみたいと思っていた。時を選ばず二度出かけたのだが二度とも姿は見えずに帰ってきた。
二年前の秋に出かけた時、これは三度目の正直、紅葉の真っ盛りの八ヶ岳にお目にかかることが出来た。用意した水彩の道具でさっそく一枚描いて、それなりに気がおさまって帰宅したのである。
長い間額装したその八ヶ岳の水彩をアトリエに架けていたのだが、最近気がついたことがあってその作品をもとにしてもう一枚水彩を描いてみた。SMの小さな画面である。何か少し間伸びがした感じがあったのを小さな画面に直して、作品としては引き締まった感じが出たようである。