
カルポーの彫刻のレプリカを二つ持っている。女奴隷とふくれっ面で、どちらも好きなものである。もともとカルポーの彫刻には惹かれていた。ロダンの誕生にはカルポーが必要であった。そこにはフランス近代彫刻の大きな流れがある。
ロダンもたえず手を動かし、その大きな芸術の基にはほとんど職人めいた確実な技術がある。その先達がカルポーである。どんどん粘土をひねって習作を重ねていく姿が、オルセー美術館に集められた作品群を見ていると感じられるのである。
彼達の作品の確実さ,強さ、大きさなどなど、そのもとになっているのは自分の手の働きである。リルケのロダン論で大いに勉強させられたし、自分の絵画制作にも役立った経験である。上村松園の画帳しかり、絶えず線を引け、といったアングルの言葉に忠実だったドガの姿しかりである。