
F6号のキャンバスにリンゴや夏ミカン、ゆずなどを集めて果物の静物を描いてみた。スーパーなどの果物売り場に行くと真っ先に色の美しいのに魅かれることがある。花屋でもそうだがやはり色彩というものには直感的に人にうったえる力があるのかもしれない。
絵画の二つの要因、形と色。もちろんどちらも大切なものだが、形には論理的な要素があり色彩には直感性があるように思われる。デッサンやクロッキーなどで形を追ってばかりしているとだんだんと袋小路に追い込まれて息が詰まりそうになることがある。そんな時にほんの少しでも色彩に頼ってみると急に世界が開けてくるようなこともある。色彩にはそのような直接性がある。
果物の色彩の取り合わせの面白さを考えながら、そればかりではなく、目を少し休ませるためにせるために白の布を置いて構図を工夫してみる。この辺りは形の面白さにもつながっていく仕事である。そして果物の黄色に合わせてテーブルの黄色を強調していく。これは色彩の仕事である。