
11月の個展が終わったら是非描いてみたいと思っていた猪の頭からの富士をF20号の大きさの油彩で試みてみた。水彩画をこのブログで紹介した時にもこの地のことはほとんど40年前にさかのぼる記憶の中に今も生き生きとした形で残っているもので、必ず油彩で制作したいと予告していたものである。
とにかく富士の雄大さが臨める位置である。広がりと言い、高さと言い申し分がない、それだけに制作としてはこちらも全身全霊立ち向かっていくしかないのである。40年前にも身にしみてわかった制作であった。今から考えるとあの時の苦労がよみがえってくる。当時は色を合わせるのだけで精いっぱいだったのを思い出す。
それでは今、現在はどうだ、というとやはり難しさには変わりないが、年齢を経たぶんだけ少し余裕は出てきたようである。全体をとらえる力がかなり上回ってきて画面と自分が一体化してきたように思うのである。現実の風景を見ているのだが、自分の描いて実現している画面の方が現実味を帯びてきているのではないかと考えている。