
いつも描きたいと思っている水彩画、これもいつも描きたいと思っている富士の絵である。特に夏の富士はなかなかその姿をのぞかせてくれない。冬の冠雪した富士はよくお目にかかるし、時間的にも長く描く事ができるが、夏の赤茶けた富士は色彩としてもとらえることが難しい。
しかし時としてこんなに夏でも色彩が鮮やかに出ることがあるのかという富士も見たことがある。これが長く続いてくれたらとは思うのだが、そうは問屋が下ろさない。南フランスに住んでいた時にも家のすぐ前に存在していたヴァントゥー山が冬の期間の何度かは山肌が目にも鮮やかに浮き出し、その色彩の微妙な美しさに圧倒されたことが何度かあった。
これからもいい機会を見つけて富士の美しさを永遠の中にとどめることができれば自分にとって最高の仕事になるのではないかと思っている。