
F3号のキャンバスにパイプや花、果物などを雑然と取り合わせて、比較的小さな静物画を描いてみた。小さな画面にたくさんの物を置いて、その個々の輪郭線や接点のつながりなどを見ていくのも一つの面白さになるかもしれない。
少し重くて、深い色を使いながら白という色や果物の原色を引き立たせようと試みた一枚であるが、とくにあまり色彩的には目立ったものがないパイプを選んだのかというと、その重い色を物を現す色彩として扱うだけではなく、背景とのつながり、画面全体の中の存在の一つとして考えてみたかったのである。
駅伝やリレー競技と同じような面白さかもしれない、一人一人の力量を比較しながら全体のレベルを計って行くわけである。パイプのこげ茶や黒い輪郭はテーブルや背景と同等の力を持っていながらパイプを現すことにもなるのである。