
静岡側からの富士、裾野市の十里木高原展望台の下の方からみた富士である。F12号のキャンバスを使っている。昨年の秋に水彩で描いていて、イーゼルを立てる位置は決まっていた。ただ重い道具を担いで少し高いところまで坂道を登っていくのが最初はきつかった。が二度、三度と日にちが重なっていくにしたがって慣れてくるものである。
富士の手前にゴルフ場があって、そこの林の重なりを通して富士の裾野から山頂に視点が引き上げられていく構図である。こちら静岡側からはいつもの宝永山が正面に見えてくる,これが描きどころと言っていいと思う。特に雪の余りかぶらない、稜線のはっきりと出てくる時がいい。
林の重なりと地面の黄色の対比を取り入れながら富士の全容に色彩を組み込んでいくように考えていく。12号という大きさ全体の画面を常に忘れないように、物の描写だけにこだわらずに縦と横の四辺に形どられた空間全体の表現に終始したいものである。