
昨年末に投稿した水彩画のキューピッドとカラスウリのモチーフをそのまま使って、今度は油彩のF8号を描いてみた。水彩の軽い感じからどれだけ違ったものが出来上がるのか、自分でも少し楽しみだった。特にこのキューピッドはセザンヌの静物画の名作があるので、自分のものを試すいい試金石のような気持ちや意気込みもあった。
アトリエの兼ね合いから、あまり大きな静物画としてモチーフの組み合わせができずにF8号の大きさを選んだのだが、今回はこのくらいの仕上がりで充分と思った。もっと動きのある画面を考えていけるモチーフのキューピッドだとは思うが、次回は全然違った組み合わせになっていくことだろう。
少し違った経緯からセザンヌのことをまた考えてみたりするのだが、その中でリルケのセザンヌ書簡などを読み返してみた。やはり考えさせられることも多く、そのついでにと言っては悪いのかもしれないが、若い時に読んだマルテの手記も読み直してみた。これなど二十歳代ではとても分からない部分が今になってよく同感できてくるところに気づいてきた。年齢が重なってきてますます人間の孤独さに思い当たるのである。