昨年、人からカリンをもらって、それを油彩のモチーフにして以来、大変に気に入っている。それほど派手な色でもないし、形もわりに野生ぽくって洗練されているわけではないのだが、南フランスでよくモチーフにしていた洋ナシにどこか似たような感じがして好きなのである。
日本の果物屋を見ているとどうも形も大柄であるし、色も何故かきれいすぎるような気がする。もっと自然なものがないのかしらと探しているのだが、なかなか自分に合ったようなモチーフになる果物がみつからない。そんな時にもらったのがカリンだった。
今年もこのカリンと柿とを組み合わせて、サムホールの小さな油彩を一点描いてみた。昨年はカリンだけの静物画だったけれど、今年は色彩を添える意味で柿を選んでみたのである。ほんの手のひらサイズくらいの大きさであるが、こういったキャンバスの中に物の構成を考えていくのも難しいものである。