
晴れた日の少ない今年の富士山麓、山の全容が続けて見られることが余りないので油彩の制作が進まない。毎日の天気予報などを見ていて気を腐らせていることばかりであるが、そんな時は何とか合間を縫って水彩を描きに出かける。夏の朝は早くから出かけて、日の出とともに赤く姿を現す富士を描くのが楽しみである。
背後山に登っての一枚の水彩画である。ここにもしばしば出かけてくるが、画題の多いところである。特に長く広がる裾野を追いかけていくと、目線がどこまでも引っ張られて、構図を切るところが難しい。描くたびに面白さが違ってくる感じがする。
水彩の透明感で富士の実態の存在に迫っていくのはなかなか難しいが、表面的な美しさだけに終わりたくはないのが私の意図であり、それは富士だけに限らず、どのモチーフにもその姿勢であたっていきたいのである。