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杉と赤松の森





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赤松を何とか自分の表現として実現させたいと思い続けている。住んでいる周りは赤松だらけと言っていいほどだが、なかなかこれを描こうといった決定的な場所に巡り合えないでいる。そんなある日、思いもかけないものを見つけたのである。赤松と杉とが群生している森である。

今までは赤松の幹の色彩や、その組み合わせからくる樹間のヴァルールを高める面白さに目を引かれていたのだが、その見つけた森には思いもかけずに杉の枝や葉っぱの曲線や角度の変化が加わって、赤松の幹の垂直感がよけいに加わってくるのである。赤の色彩の存在が強まって見えてくると言える。

この発見には我を忘れるほど驚いた。とにかくその場所をあちらに動き、こちらからも眺めていると、かなり大きな画面までが考えられてくる。自分ながらにワクワクしてくるのだが、以前読んだことのあるゲーテの言葉を思い出した。最初から大作を試みては途中でその作品を放棄せざるを得なくなる、小さなエチュード、自分に可能だと思われる所から始めていくべきだ、という言葉である。

この森の杉と赤松はどこまで発展できる作品になるかはしらないが、とにかくF15 号のキャンバスに取り掛かってみたものである。

by papasanmazan | 2022-07-03 23:48 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2022-07-12 17:45 x
いいですね~ 画面に厚みが出てより味わい深くなりました。現実の景色はもっと複雑なのだろうと推察しますが この作品を拝見していると 杉を通して広がる赤松の林立が画伯の目に飛び込んだ時のワクワク感が目に見えるようです。描き続けている者にしか見えてこない景色なのかも知れません。この先の展開が楽しみです。
Commented by papasanmazan at 2022-07-13 07:25
ono7919さん、日本に戻ってからの制作はまず第一に富士のシリーズをという事でしたが、赤松や溶岩樹型の森などにも巡り合って、モチーフとしては恵まれてきました。ただ赤松だけはまだまだ解決できない画面の消化不良があり、この先もまだ何か出てきそうな気もしています。
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