
久しぶりに自画像を描いてみた。人物画はもともと好きでたくさん描いてみたいと思うのだが、モデルになってくれる人もなく、またそのモデルさんがきつそうだったり、眠そうだったりするとなんだか気の毒で、自然に人物を描くことが少なくなっている。そんななかで自分をモデルにするというのは一番気楽で、面白い構図なども考えることが出来る。
もう70才も過ぎた老醜を、あんまり大きな画面にするのはどうかと少し気兼ねもあってサムホールの小さなキャンバスを選んでみた。描いている間はやはり楽しく、また自画像や人物などもやってみたい気持ちになってきた。レンブラントやゴッホが何枚も自画像を描くのも分かるような気がする。
こんな小さな自画像だが描いていて、一休宗純和尚の肖像画が思い出された。むさくるしい頭で、八の地眉毛の顔をこちらにむけている絵である。なんだか今の世の中の悪さを皮肉な顔で見守っているようである。日本の肖像画で実際に見たものの中では源頼朝像が忘れられない。肖像彫刻では唐招提寺の鑑真和上像に一番惹かれた経験がある。