F6号のカンバスに小さな花束やリンゴ、カリンなどを加えて、模様のはっきりした布を構成の要素の一つに静物画を描いてみた。あまり大きくはないキャンバスに多すぎるモチーフを詰め込んだ感はあるが,静物画は自分の意志がはっきり盛り込める絵画である。ここではうるさ過ぎるのは覚悟の上で動きを主に考えた構成を出してみた。
静物画だから静かな印象のあるものばかりを狙うのではない、中には動感だけを頼りに制作欲が高まってくることがあっていいはずである。フランス語ではナチュール、モルトが静物画にあたるが、モルトは死んだという意味になる。だからといって死んだように静かな雰囲気ばかりが能ではないだろう。ぐんぐん動いていくような静物画も描いてみたい。
F6号位までが日本の家庭に飾る絵の大きさとして適当なのだろうが、なかなかこれくらいの大きさでダイナミックな絵を描けと言われても難しいものである。どうしても小ぶりで、おとなしくまとまった絵になりがちだが、何とか存在感のある作品になってくれないかと意志をたてるしかない。