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熔岩樹型の森(5)




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昨年の夏前に鳴沢の溶岩樹型に巡り合い、その溶岩と樹木の織り成す森に魅せられて油彩や水彩を連作してきたが、神戸での個展の前、ちょうど油彩の第四作目で制作が途切れていた。年が明けてから再びこの森で描き込んでいる。前にも言ったように他の場所では見られないような深い雰囲気に包まれた,まるで古事記の世界を垣間見るような森である。

富士山の噴火によって流れ出た溶岩に焼き尽くされた樹木の根の形がそのままに地中に残って大きな穴になっている。現在は指定地域になっていて、その穴の周りを厳重に鎖で囲ってある。上からのぞくと相当に深い穴である。そんな森の中で制作を続けている。昨年描いていたところから少し外れて、今度のところはそんな穴に囲いもないようなところで、後ろに退がって作品を見直すときなど危ないような気がしている。それに溶岩もゴツゴツと固まっていて、とにかくつまずきそうである。


しかし描いていて非常に面白い、大好きなモチーフである。今回はF20号のキャンバスに描いた油彩であるが、相当に描き込んだものである。何日くらいかかったのか、少なくとも10回以上は描き込んでいるはずである。もうこれで出来あがったかと思ってもアトリエで見直すとまだまだ、ということになって、また出直して描くのである。アトリエで手を入れることは全くなく、とにかく現場で描いている。決して自然そのままを写すことはないのだが、やはり自然の中で仕事をする。


この作品ももうほとんどツメの状態になったと思って家に持ち帰ってみたのだが、やはりまだ足らない部分がある、完全に出来上がった、とは思えないのである。気を入れなおしてもう一度溶岩樹型の森へ、そしてその日、15分も加筆しないうちに今日で出来上がると確信できた。なにが足りないのか、一つ一つを説明はできないが、作品全体がぐんと生きてくるのである。自然をもとにして自分の描いている画面が急に大きく見えてきたのである。

by papasanmazan | 2022-01-31 18:01 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2022-01-31 20:13
おお~ 凄い!すごいですね~ ダイナミック!クリアな画面から心の開放感を感じる心地よい作品ですね。
Commented by papasanmazan at 2022-02-08 11:23
ono7919 さん、今までの溶岩樹型とはずいぶん違った感じのものになってきました。場所を少し違えただけで描く内容も変わってきます。もっとダイナミックなものにしたいと思っていたので、この場所で続けて行くつもりです。
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