
知人からザクロとカラスウリをたくさん送ってもらった。もちろん静物画のモチーフとしてである。さっそくF4号のキャンバスに始めてみた。白い皿と白い布を添えて、実の赤や橙色、葉っぱの緑などの原色に近い色彩の強さの緩和を白の面積ではかろうとする。計算としてはそのくらいのものだが、やはり目の前の色の強さには相当なものがある。
ザクロは若いころから何度も描いている。カラスウリも二,三回は描いたことがある。どちらも形も色彩も申し分なく制作欲を高めてくれる。ただこう言ったものもよほど造形感を意識しないと、単なる趣味的な味に終わってしまう制作になりがちである。自分自身で画面の高揚をよく確かめていくしかないと思う。
ザクロやカラスウリなどを見ていると自然と宮沢賢治の童話が思い浮かんでくる。タネリの遊んでいる林の風はいつまでも吹いているようである。