日本の戻ってきて久しぶりの夏、フランスでは見かけたことのないケイトウの花が目についた.濃い葉っぱに鮮やかな赤や黄色の花が何とも懐かしかった。鉢植えの赤い花のものを買ってさっそくアトリエやベランダにおいて楽しんだ。もちろんパステルの用意もした。
いつものグレー地の紙に描き始めたが、ただきれいだと思っていた赤の花もパステルの色選びになるとなかなかに難しい。マゼンタやローズマダーだけの単純な色だけではあの赤が表わせないのである。重色していくことでやっとケイトウの花らしくなったが、葉っぱの複雑な色の重なりもそれなりに複雑である。深い色をあまり考えすぎるとただ重いだけの色に陥ることもある。
たった一鉢の花の色だけでも随分変化に富んでいるもので、それを表現するのもい一苦労である。しかし出来上がったものを額装して眺めているのも、本物の花の鑑賞と同様に楽しいものである。