
フランスから日本の富士山の麓に居を移して初めて描き始めた油彩の作品、F30号の忍野富士がようやく完成した。真冬の寒い中に大変思い入れを込めて制作い始めたのだが、他の同時に始めた油彩や、水彩、後からの油彩などが次々に出来上がっていく中、この作品だけはとにかく長い間アトリエでも眺めっこし、また現場で何度も加筆し直して仕上げたものである。
自分としてはフランスから日本への制作の橋渡しのような気がしていたものである。いわばヴァントゥー山から富士山への大移動である。富士山を久しぶりに現場で描いていてつくづくフランスでの経験の大切さを感じたものである。
それだけにこの作品に対する思い入れも強く、他の作品を先行させて、その結果を出来るだけ参考にするようにしながらようやく自分の気持ちを鎮めるようにして仕上げたものである。おそらく来年、再来年、その後もこのモチーフはどんどんつながっていくものであろう。