
昨年の7月31日に投稿したF6号、オリーブと松のある家と同じ場所でもう一枚油彩を試みた。今回はM10号の横長の形のキャンバスを選んだ。前回の制作後にすぐにもっと横に広がった構図のほうがよりよく動きが出ると思っていた。
石造りの家の強い直線が交錯していくところに松とオリーブの柔らかさ、自然さが加わって一つの魅力になる実景であるが、前作ではオリーブの扱いがうまくいっていなかった。描き過ぎていた印象がある。描き込んでもいいのだが描き込んだように見せないのである。そうしないと建物の線、面と、松の木のかたまりとでかなりの重さのある画面がオリーブの塊によってますますがんじがらめの、眼の休まり場所のないものになってしまう恐れがある。要するに描き分けるということが肝心なわけである。
冬の季節の、余り強くない光線ではあるが、画面は中から光がじわじわと輝きでてくるような作品を考えている。