
リンゴ五つと果物鉢を主なモチーフにしてF4号の静物画を描いてみた。背景には南仏模様の布をおき、テーブルには赤い筋模様の白いクロスを配してリンゴの赤と共通の色を、そして果物鉢とクロスの白も共通の色にしてみた。4号くらいの小さな画面では余り色とりどりに組み合わせると表現がチマチマして、見ていて落ち着きのないものになりがちである。
出来るだけ描き進めるにつれて上品なものに仕上がって行くような制作がしたいと思う。それでいて構成としても骨格の強いものを願いたい。たかだかそこいらにあるリンゴがモチーフでも画面の中では意味のある存在でありたい。
どういった意味なのであろうか、それは言葉ではなく、説明ではなく、装飾でもなく、存在そのもの、といったものである。どう扱ってもそこにしか存在しないもの、右にも左にも、上にも下にも動かせない、そこにだけ存在するもの、そこまで突き進んだ制作にたどり着けたらいいのだが。