
2020年になった。昨年10月に家内の実兄が永眠したので、喪中につき新年の挨拶はひかえております。
昨秋、一時帰国したあと、フランスに戻って最初に描いたのがパステルのザクロだったが、もう一枚今度は縦型にして、同じくパステルで描いてみた。前回の横型のものは戸外の実景であるが、今回のものは全くアトリエ内での制作である。
横型の出来上がったパステル画を参考にしながら印象と記憶を頼りに進めていった一枚である。このような現実のものから離れた仕事はほとんどしたことがなく、少し疑問を持ちながら完成させたのだが、ザクロに関しては油彩、水彩、パステル、スケッチなど数限りなくやってきているので、ザクロの固体については全く問題なく頭の中で考えたとおりに描ける自信はある。
ただ前回の横型のものがいわば静物的なザクロの木と実だったのを、もっと風景的な、風景の中のザクロとして表してみたかったのである。そのために縦型を選び、構成も考えてみたものである。
こういった記憶に頼ったようなもの、印象に残ったものを追っていくような仕事ももっと考えていっていいと思う。