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柿の木のある家


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もうすぐクリスマスだというのに今年のフランスは全国的なストで、公共の交通が麻痺していたり、大々的なデモ行進で深刻な状況になっている。日本でも同じことなのだろうが、老齢年金の支給が先送りにされそうなのに対する反対運動がそもそもの発端で、クリスマスといえば一番にぎやかなはずの歳末商戦にも大きな影響がでてきているようである。政府と労使の話し合いも平行線をたどって、解決のメドも今のところたっていない。

それに加えて、これも全国的な天候による災害が広がっている。大雨によるもの、強風によるものなど、地球の環境破壊が如実に感じられて、何か不安に覆われた感じがする。日本での個展が終わって南フランスに戻ってきてからも落ち着いて戸外で制作できる日が少なく、なかなか作品も出来上がらない状況である。

そんな中で今年の夏、集中して描いていたキャロンの村の家で、大きな松の木を背景にした一軒ポツンと建っているのを見つけていたのだが、晩秋になって行ってみると柿の実が少し残っていた、余り色彩的にも、構成的にも人目をひくような風景ではないのだが、その柿の実の色になんとなく魅かれてF10号のキャンバスに描いてみた。


何気ない絵になっているが自分としていい勉強になったものである。大きく物をつかむこと、そしてそれを出来るだけ大きく見せること、細かい神経は使っていてもそれを画面には出さないこと、それでもって一つの作品として完成せること、これらは今まで明確には意識しなかったことである。

by papasanmazan | 2019-12-18 23:05 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2019-12-22 15:00
世の中は何もかもが荒れに荒れていますが 画伯の作品を拝見していると何となく穏やかな気分になってきます。見過ごしてしまいそうな何でもない景色も 画伯の息吹が吹き込まれると スポットライトが当たった特別な場所に見えてくるから不思議です。建物と赤い実の柿の対象がいいですね!
Commented by papasanmazan at 2019-12-22 19:48
ono7919 さん、こういった平凡な風景ですが絵画の本質に迫っていくのには物の表面ばかりを見ていてはダメだと思います。直観力と論理の力、これは美大に入った時から気づき始めたことなのですが、今のこの年齢になってようやく歯車がかみ合って動き始めた感があります。そういった意味でこれからのモチーフにも楽しみがでてきました。
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