F4号のキャンバスにカフェティエラと小さなリンゴ、梨をモチーフにして描いてみた。静物画の典型みたいな画面だが、じつはこの背景の布の色を使ってみたかったのである。カルパントラの高級布地店で見つけたもので、いい色合いなのだが、下手に扱うと手前の肝心のモチーフがおされ気味になるような布である。
要するに脇役が主役を食ってしまいそうになる布なのだが、色そのものは上品で落ち着いたものである。それに負けないようにと考えて垂直にカフェティエラの強い金属感を使ってみたのである。後は白い布と果物を配して一枚の静物画にする。
いわゆる対比と同調、全体の調和を自分の持っている調子に持ち込んでいけるかどうかというのが絵として上手くいくかどうかということになると思う。