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オリーブと松のある家





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たとえば何か風景画を描こうとすると,良い眺めや面白そうな建物、その他自分の心にかなう景色を追い求めていく。初心者の頃はどんなにこの場所を描いてみたいと思うようなところが見つかっても、なかなかいざ実際に描いてみるとどれもこれも難しいものである。

それが少しづつ経験をつんで、いろいろなモチーフにあたっていくと、その風景にも自分の好みがでてきたり、こういう構図のもの、自分の意図などが加わってきて、その制作も段々高度のものになってくる。そして出来上がった作品にしてもあるときは深みのあるいいものが出来るかと思えば、時々は自分の自己満足だけに終わって、他人の目からすると一体これは何を現し、何を言わんとしているのか、と批判の対象になるようなものも出来てきたりする。

いわゆる奇の衒ったもの、ただただ難しいもの、その他高度なものには違いないが親しめないもの、そういった制作もできてくるわけである。しかし最近の私は年齢のせいか、モチーフにはできるだけ当たり前で、どこにでも存在し、すぐにでも手に取れるようなものを選ぶようにしている。

いつも制作に向かう車から見える石造りの建物で、オリーブと松にかこまれた家がある。F6号の比較的小さなキャンバスに描いてみたのだが、プロヴァンスにはざらに見られるこんな風景で、たったこれだけの簡単な構成に過ぎないのに、こんなに難しく、これほど時間と制作回数のかかった絵も最近では珍しかったことを告白する。



by papasanmazan | 2019-07-31 19:28 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2019-08-02 14:35 x
力強く堂々とした作品でF6とは思えない大きさを感じます。
建物は画伯の「岩」をおもわせる堅牢さで、それに負けない松の勢いが南仏の青い空に映え これぞ画伯の真骨頂と拝見しています。
Commented by papasanmazan at 2019-08-03 18:46
ono7919 さん、この絵に関してはうんざりさせられる位、描き込んだものですが。完成させてから考えてみれば、何か一つの経験にはなってきたようですF6号くらい、とあなどるようなことは出来ません、どれもこれも難しいものです。
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