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マザンとヴァントゥー山




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マザンの風景といえば誰もがここだ、といえるような場所、我が家からもほんの少しの距離である。もう何度も描きなれている風景ではあるが、やはり春が過ぎて空の色がどんどん青く、明るくなってくると、また描いてみようという気持ちになる。


しかし徐々に変わりつつある景色でもある。何か色も全体的にきれいになって、それはそれで結構なことなのだが、なんだか風景が軽くなったような印象を受ける。素朴な美しさも残しておきたいような気がするが、これも時代なのだろうか。

今回はP3号のキャンバスに描いてみた。P3号というのは初めてで、F3号よりもこころもち細長い形である。この風景は写真家などもよく選んでいる場所で、日曜画家のフランス人グループもここで描いていたのを見たことがあるが、私には案外難しい制作だといつも思うのである。というのも奥行きがつけにくい構図になってくるからで、息抜きになるような部分がなかなか見つけられない、だからマザンの村の裏からヴァントゥー山までの距離感が出しずらいのである。


セザンヌはこういう風景の時にでも距離感を充分に表現する術を知っている画家である。いわゆるセザンヌの絵の垂直性といわれるもので、その垂直感で奥行きに引き込んでいくのだと解説されている、しかし私にはその垂直感というのと奥行きというのがどう関係するのかよく理解できないのである。垂直感というよりももっと、縦に切り込んでいく心理、縦の空間処理、切り込んだ遠近法、といったほうが分かりやすいのである。

by papasanmazan | 2019-06-07 18:59 | 風景画 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2019-06-14 21:17 x
教会を中心に落ち着いた成熟した町の空気と、明るい画面からホッとするような安らぎを感じるいい作品ですね~
村のはずれからわずかに見え隠れするグリーンが 後ろの山との距離感を出しているのだろうかと思い拝見しています。
Commented by papasanmazan at 2019-06-17 03:01
カワセミさん、3号の大きさの画面の中で距離感や全体のマッスを表すのはなかなか難しく、それなりに色彩のプラス・マイナスなどを工夫してみてはいますが、常に研究の余地あり、といったところでしょうか。ただ以前よりは出来上がりかたが柔らかく、無理がなくなってきたような感じは持っています。
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