
アトリエに置いてあるキリストの像を静物画にしてみた。F10号のキャンバスを縦型に使って、本を二冊と背景の布、鉢植えの植物をあしらって描き始めた。本がなんとなく聖書を暗示できればいいと思って使ってみたのだが、別に宗教的な寓意などはない。
制作の進行とともに何か構成的な要素がほしくなってきた。画面が布や葉っぱの繰り返しが目立ちすぎて肝心のキリスト像がシャンと存在してこないのである。しばらく考え込んでいたが、思いついたのが十字架を添えて、その直線を構成に組み込んでいこうとしてみたのである。それからの制作は大変に気乗りのしたものになった。ただし十字架にも寓意はない、またそれほど目立つようにも描かずにしておいた。
仏教、特に禅に関する本に比べてキリスト経関係の本は今まで余り読まないでいる。関心は高まるのだが、よく理解できるようになったのは内村鑑三の聖書註解全集を読んでからである。特にロマ書の研究がよかった。カール・バルトのロマ書研究もいいと聞くがまだ読まずにいる。