毎年春、秋に出かけるヴァカンス、今年も家内と二人で地中海の近くで過ごしてきた。一週間の予定だったが途中二日間が雨、仕方なく九日間に延長して二枚の油彩を描いてきた。
以前から気づいていた場所で、昨年秋のヴァカンスからの帰りに特にこの場所を選んでおいた。また日帰りで制作場所を探しにも来ていたのでなんとかP20号とF12号を終えることが出来た。エステレル山塊のはずれとでもいうのか、ロックブリューヌという赤い岩山である。
今まで赤い岩や森などを描いてきたその延長線にあるとでもいえる制作で、自分としても心待ちにしていたヴァカンスであった。あいにくの天候で、雨や強風にたたられたが、制作としてはよく集中できた作品である。
赤い山と頭にこびりついたモチーフであったが、描いているうちにほとんど山という観念は消え失せてしまった。出てきたのは岩である。山の全容などよりも眼前には岩だけになってしまった。まるで達磨の面壁のような気持ちである。フランスにいるのやら少林寺にいるのやら分からない、これは新しい経験であった。これはP20号のキャンバスで、赤の色をケバケバしく見せないように心がけた。