
マルモールという村のはずれに大変大きくて古い農家がある。もちろん石造りでしっかりとした建物である。部分的に外壁などを新しくしてあって、それほど見た目には変哲はないが、構造的にはどっしりしていて、以前から描いてみたいものの一つだった。
ちょうど新緑の頃で、畑の麦の柔らかい緑の色なども目に飛び込んできて、色彩の対比にも絵心をそそるものがある。F10号のキャンバスに描いてみた。
こういった造形的に強い建物を描くのにあまり細かい表現は不必要だと気付くようになった。大きいところはそのまま大きく出してう行く,それで充分である。細やかな色の変化や,階調の昇り降りも部分的に必要ならば加えていくが、大きくて済むところは大きく出していくべきである。年齢とともに制作の方法もずいぶん楽な方に流れてきているのかもしれない。