
今年の一つの目標はプロヴァンスの村の建物や集落を描くことである。この地方に住んでもう15年以上になったのだが、ヴァントゥー山をはじめとしてプロヴァンスの風景を随分油彩や水彩で描いてきたが、いわゆる石造りの家を主題としたものは少なかった。
以前定期的に個展をしていたデパートの画廊から、もっとプロヴァンスらしい風景、村の中の花を飾った家々や、雰囲気のある店などの情景などの絵を描いたほうがいいといわれたことがある。パリで言ったらセーヌの川岸や凱旋門をあしらった絵、フーケッツの赤いサロンを描け、といったところだろうか。どうも私には気乗りもしないし興味のない話だった。
しかしプロヴァンスの家並みや村の集落を造形的に扱いたいとは前々から思っていた。素朴で飾りのない構造的に強いものを求めていたのである。まずはマザンから近いキャロンの家と松を並べて描いてみた、P8号のキャンバスである。