
2015年3月3日の日付でこのブログに投稿したバルーの農家という作品と同じ場所で四年ぶりに、これも同じ構図、ほぼ同じ風景をF12号のキャンバスに描いてみた。前回はF15号だった。この場所からの見晴らしはいかにもプロヴァンスらしく、オリーブや松の緑に大地のオレンジがかった褐色などの対比が魅力である。
前回の15号の作品を写真で見ていると、近景などはよく描き込めていると思うが遠景の処理がまだうるさく、もっとアッサリとした省略が必要だと思われる。そういう意味からも、また現場の美しさからいってももう一枚描いてみたくなったのである。
今回は少し視点を左に移して、緑の色も出来るだけ明るく抜けたように操作をしながら、全体の軽みを増そうと心がけた。油彩の重厚感を人はよく口にするが、私は透明感のあるほうが好きである。透明で、キャンバスに吸い付いたような色彩の美しさに魅力を感じている。
日本画の岩彩と違って油彩本来の透明性を大切にしたいのが制作の願いである。そこに清潔さを感じるからである。