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三つのリンゴ


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F3号のキャンバスを縦型に使って三つのリンゴをモチーフにして静物画を描いてみた。こういった単純な組み合わせで、見た感じも、描く感じも構成的なのが大変に好きである。白い布の上に置かれたリンゴ三つ、背景に赤を主にしたチェックの布、それにテーブル代わりの小さな椅子だけが構成要素である。

アダムとイヴの楽園追放の旧約聖書から、ニュートンの万有引力、そして静物画のセザンヌ、どこまでいってもポピュラーなリンゴだが、これが描いてみるとなかなかに難しい。たとえば三つのリンゴを描くとして、三人の人間がいればそれぞれ性格も表情も違っているのと同じくリンゴにも個性はあるはずである。同じ赤い色をしていてもその赤の中にも違いを見つけるだろう。そういったそれぞれの持っているものをつなぎ合わせながらおのおのの固体としての特性も表現していく。

しかしなんと言ってもまずは三つを使っての動きをよく考えてみる,その内の二つは接し合い、重なり合わせ、残りの一つは少しその二つの群から離し気味にする、それでもってジグザグに上から下にと目線を引っ張っていく。そのためにまずはキャンバスの使い方を縦型に決めていく、狙いはただそれだけの話で、あとは実際の制作を進めていくのである







by papasanmazan | 2019-02-23 21:10 | 静物画 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2019-03-01 21:37 x
すてきですね!背景のチェックの赤と白く輝く布の豊かな量感の中で、背景からこぼれだしてきたように赤いリンゴが輝いて見えます。色が響きあいながらそれぞれの役割を果たし、小さな画面に無限の広がりと豊かさを感じ驚いています。静物画もいいですね!
Commented by papasanmazan at 2019-03-03 04:30
カワセミ さん、まだ若かった頃、こうした三つのリンゴや、個数をかえたリンゴの絵をかなり描いていました。その頃と比べるとやはり制作は本質的になってきているように思います。単純な狙い、それだけで画面が保障されればそれに越したことはないと思います。複雑に見えるようなもの、何か難しそうに見えるおもわせぶりなもの、そういったものを断ち切っていきたいのです。
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