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冬の雑木林

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真冬の、葉を落とした木々の姿は美しい。昨年の1月30日にこのブログに投稿したF20号の冬の木々と同じ場所で今年も裸木の群れをP15号に描いてみた。昨年はその林の中で制作したが、今年は木々の並列しているところを選んで、林から距離をおいた姿をポイントにしてみた。

この並列した構図は見ていて美しいが、描く段になるとなかなか奥行きがでてこないので難しいものである。出来上がったと思っても何か平板な感じで、物足りないものがいつまでも残る、今まではそういった制作がおおかった。それにも懲りずにやはり冬になるとあの枝々や幹の交錯する姿を見ると描きたくなるのである。


まだ美大に行ってた頃、武蔵野の欅の林が立派で、描いてみたい気持ちがあってもどうすればいいのか分からなかったことを思い出す。その欅の林で忘れられないのは故堀内規次先生の絵である。静物画、漁船シリーズ、室内の人物など才気ある作品をどんどん世に出されていたが、武蔵野の欅もその中の一つのシリーズであった。通っていた美大の関係で目をかけていただき、二ヶ月に一度位、田無のご自宅のアトリエにお邪魔していた。先生は芸術家ぶったようなところはまったくなく、酒に酔った若造の私の駄法螺を、ただニコニコしながら聞いていてくださるだけだったが、若いうちはそんなにいい絵は描けないよ、絵だけではなくいろんな芸術を吸収することだ、といつも教えてくださっていた。そういう私ももう先生のなくなった年齢を越えてしまっている。








by papasanmazan | 2019-02-10 00:05 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2019-02-13 18:59 x
素晴らしいですね!キラキラと輝いています。この作品を拝見していて、ふと「内分泌作用」と言う言葉を思い出しました。確か「近代絵画」という本の中に書かれていたと思うのだけど、当初はその意味が分からなかったが、今この作品を拝見していて、その言葉の意味がストンと伝わってきて自分でも驚いています。
Commented by papasanmazan at 2019-02-14 03:48
ono7919 さん、小林秀雄の近代絵画、そのなかのセザンヌのところに引用されているリルケの言葉だと思います。もちろんパブロフの犬の話で、獲物を見たときの内分泌作用から連関される言葉でしょう。色を塗る、というのではなく、内部からおのずと色彩がじわじわとにじみ出てくるような感覚、それがリルケのセザンヌ体験といわれる、いわゆるリルケの絵画批評の独特な言い回しで、これは大変に有用な言葉だと思います。
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