
昨年1月5日に投稿したF15号の風景画、白い岩にほぼ一年経てから加筆した。一応制作としては完成したと思ったので、サインも入れてアトリエで時々眺めていた作品なのだが、なんとなく物足りない感があり、冬の時期までお預けの状態にしておいた。
今年の正月明けの寒い日にふたたびキャンバスを持って現場で自分の作品と実風景とをかわるがわる見直してみた。実風景は変わることはないかもしれないが、自分の見る目は相当に違ってきているように思う。
フランス語でよくイマージュという言葉をつかう。英語のイメージに近い言葉かもしれないが、日本語のイメージにあたる印象といった意味よりもフランス語のイマージュは画像に近い意味があるように思われる。印象という言葉の持つ、少し雰囲気的な、心境的な感覚ではなく、もっと明確な,視覚の要素の強い言葉がイマージュのように思われる。もっともフランス人全部が意識的にそういう風に使っているわけではないだろうが、時折聞かれる言葉である。
現場で実際の風景を眺めながら、昨年仕上げた画面を点検していると、なるほどここはこうして、こういう考えでこう描いたのだな、とは思い当たるのだが、今いったイマージュという意味で不足しているものがある。要するに表現できていないのである。
表現するということは外界のものを単に写すことではない、画面というものを作り上げることである、イマージュを確定していくことである、と次から次に言葉を選びながらこのF15号の絵に加筆してみた。