
昨年11月の日本での個展を終えて、フランスに戻ってすぐにF10号の風景画を描き始めた。この風景はぜひ秋の枯れた感じの時がいいだろうと心待ちにしていた場所、ベル・ヴュウからの俯瞰図である。
春、夏よりも大地の傾きがよく画面の動きにあわさって、秋の落葉した木々の群れの色彩に流れていく全体感に制作していて大変に魅力を感じたものである。しかし途中でモチーフの実景に引っ張られて過ぎて、これもやはりアトリエにしばらく放置しておいたものである。
少し時間を取って、間を置くというのか、余り直情的になり過ぎないように心がけていくのも大切なことだと思う、今年の正月を越してから、やおら制作を続行した作品である。晩秋のヴァントゥー山といっても完成したのは真冬の寒い日だった。