
バルーという村にある城はすでに方向を変えたり季節が違った作品をかなり描いている。家から車で10分位の距離でもあるし、小さいながらこれだけまとまった城はプロヴァンス地方にそうざらにあるものではない。ロワール川周辺や、ドルドーニュ地方の数々の有名な城とはまた違った味のある城である。
このバルーの町もこじんまりしているが、城のある高台から見下ろすとオリーブの林に囲まれ、松並木があちこちに見られる静かで、日当たりのいい村である。オレンジがかった屋根の連なりが特に美しい。この村に入っていくのに、松の木が連なった急な坂道を通っていく。
この坂道も何度もキャンバスを変えて描いてきた、自分にとっては離れがたいいいモチーフである。今回は役75×35cmの細長い特別寸法のものを使って描き上げたものである。この油彩作品はじつは二年ほど前に描き始めたものだが、順調に制作ははかどっていたのが、途中で急に描く姿勢があやふやになって中断してしまっていた。
何度もアトリエで見直して、気を取り直して制作を再開するのだが、どうにも進まないままになっていた。。こういう時に年齢をとるというのか、経験をつむというのか、制作に間を持たせることが出来るようになってきたように思う。
今秋の日本での個展の後、フランスに戻って,真っ先にこの作品は出来上がると確信した、その気持ちの据わったところで出来上がったものである。