
今年の春さきにノミの市で買った油差しが静物画のモチーフにピッタリと来て大変に気に入っている。今までに二枚のフランスの古い額にあわせた静物画に続いてもう一枚、今度はF8号に描いてみた。前作二点はなんとなく古い額にあわせたようになって、少し情感に流れた感じがあったので、このF8号はもっと構成的にしてみようと思った。
油差しと果物鉢(コンポチエ)の組み合わせを工夫しながら、それに果物と湯のみを配したものである。こういうふうにそれぞれのモチーフをテーブルに置きながら何を見ているのかというと、とにかく画面の流れであり,この絵の場合は特に白の面積の配分である。数学的な数で割り切れるような面積ではなく、もっと目を使った直感的な白の美しさを目指した計算である。
自分自身こういった静物画を考えていくのが好きであるし、単に制作するよりも何か小さくても目標がはっきりしていくのが励みになっていいと思う。