樹間の城


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南フランスに越して来る前にパリの郊外、エポンヌという村に家族で十五年間ほど住んでいたが、そこの城跡の自然公園で、特に冬の期間、木々の幹とその間から見える遠景を組み合わせた構図の作品を沢山描いていた。題して樹間、思いで深いテーマである。これらの作品でかなり絵画上の進歩もしたように思う。


そしてこの樹間シリーズの終わり頃に自分の人生にも大きな転機になった出来事が起きたのである。若い頃から、酒をあおり、タバコを大量にに吸ってまったく手のつけられないような不健康な生活を長年に渡っておくっていたのである。ほとんど家族からも見放されるくらいの状態であった。いくら禁酒を試みてもダメ、続かない、タバコをやめようとしても続かない。そんな毎日であった。


そんなある年の私の誕生日に、娘が、お父さん、はいプレゼント、とくれたのが禁煙用のニコパッチだった。これはどうしてもやめないわけにはいかない、と決心してようやくタバコはおさまった。それからしばらくして、酒に酔った状態で階段から落ちて手首を骨折した、その時にとうとう酒をやめる機会がめぐってきた、とすぐに思った。本当に痛い経験だったが、ちょうどその時期に家内がアルコール依存症のサイトを色々集めて研究したものを私に、一度読んでみて、と渡してくれた。


酒とタバコから離れようとした時に、とにかく樹間の最後の制作に没頭しようと頑張ってみた、苦しいのは苦しかったが何とか切り抜けた。


そのエポンヌの時の樹間とはまったく違った図柄だが、大きな姿のいい二本の松の間から見えるバルーの城で、F20号の油彩である。





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by papasanmazan | 2018-06-26 19:21 | 風景画 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2018-06-28 21:04 x
ご自分との闘いを乗り越えてこその今、なのですね。その様な辛苦が過去にあったとは思えない清々しさを感じながら、今まで作品を拝見していました。
この作品も 潔い松の向こうに見え隠れする城や家々、卓越した画伯の手法に目を奪われながら拝見しています。
Commented by papasanmazan at 2018-06-29 15:16
カワセミ さん、人生色々あるとは思いますが、酒で随分時間を無駄にしてしまったのが実情で、それを取り戻そうと
出来るだけの努力をしてきました。最近少し明かりが見えてきたように思います。
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