卓上の楽器



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静物画のモチーフに大好きな楽器を時々使うことがある。今回もF15号のキャンバスにクラリネット、コルネットそしてフルートと三つを組み合わせ、その他にポット、小さなカップ、緑や茶色の模様の布などを加えて、少し複雑な感じの作品を考えてみた。

とにかくこの一枚には時間が掛かった。制作の途中でほとんど一ヶ月以上もそのままにほったらかしておいた状態であった。組み合わせや、進み方は非常に気に入っていて、何の不足もなく進むはずのところが、平行して描いている風景画や、家内の肖像画など、それらを納得できるまで制作し終わらないとこの静物画を続けることが出来ない感じがして、自分としても何か腑に落ちないような制作過程であった。

一つ再開しようという段階になってから画面上の動きが大変に激しく変化しだしたのである。形の変化(デフォルマシォン)や省略、溶かし込み、また描き起こし、など続から続へと変化していった。

ひとくちにデッサンといっても何も正確に形を写すだけではない。画面全体の動きの中で個々の形は変わっていく、また画面上の実在感を求めて変形されたりもする。それらを総して制作というのである、ただ感覚もなく、感情の高揚もなく目の前のものの色や形を追うわけではない。

ヴァレリーの美術論、〔ドガ、ダンス、デッサン〕の中で引用されているドガの言葉、デッサンは物の形ではない.、物の形の見方である、これは大変に上手く言い当てたものだと思う。

出来上がった自分の作品にあまり執着もしないし愛着など感じることはほとんどないが、この静物画は珍しく自分ながらに気に入っている。特に苦労したポットのふたの上部の曲線は好きである。




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by papasanmazan | 2018-05-25 19:51 | 静物画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2018-06-03 16:26 x
この作品はいいですねー いぶし銀の輝きとでも云うか見ていて飽きない作品だ。ポットのふたや手前のカップの曲線が緊張感を和らげ味わいとなっている。因みに私はクラリネットの存在感が気に入っている。
Commented by papasanmazan at 2018-06-10 17:34
みみずくさん、自分の気に入ったモチーフで組合されていく静物画はやはり楽しいものです。とりたてて高級な人形や調度品が立派な静物画になるとは限りません、どこか古い農家の片隅に置きっぱなしになっているような器や日常品で、しっかりしたようなモチーフを描いてみたいと思います。
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