
これも昨年7月中旬に出来上がったF15号、バルーの大きな松に加筆したものである。もうすでに暑くなっていた頃に描いていたのを覚えている。この作品の不満だったてんは特に深い色の部分の諧調が足らないというものだった。昨年の段階ではそのあたりにも気をつけていたつもりだったが、やはりまだ足らなかった。どれだけ集中して描き込んだとしても、画面上で足りないものはやはり足りないのである。目の判断に頼るしかない。
そういった不足しているものに何とか答えを与えようと努力していくわけだが、その点でその判断の基準に話が戻るのである。やはり何らかの理想が自分の中にあるのだろう、どこかで学んだこと、獲得したこと、それらは実際の経験によるものもあるだろうが、三次元の現実世界から離れた、何か神秘的な作用が働くのではないのだろうか。それを私は直感によるものといいたいのである。
科学の世界が分析による論理力に基づくのとは違って芸術は直感による理想との交感が第一義の美学になるのではないかと思っている。