松とブローヴァックの丘



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冬枯れの色の中で松やオリーブなどの常緑の色が特に目立ってくる。そういった自然の色にかこまれた制作には大変に人間的な幸せを感じる。対象となる自然の中に直にイーゼルを据えて絵を描いていくなどということは、あるいは時代遅れで、笑止千万な事柄なのかもしれないが、この地道な手仕事は私には必要不可欠なことである。


F10号のキャンバスにモルモワロンの上から遠くにブローヴァックの丘が見えている風景を描いてみた。手前に形のいい大きな松の木があって、この木の形が以前から好きである。昨年はP10号に同じような主題で制作したものがある。



手前の松と奥に見える丘との距離感を形の変化や色彩の差によって表現していくわけであるが、こういう時によくヴァルールという言葉を使う。ヴァルールが正しいとか的確でないとか、あるいはもっとヴァルールを高めたいとかいうときもあって、なかなか意味のつかみにくい言葉である。



ふつうにはヴァルール、値という単語で、絵画の場合には色価と訳される。それではその色値とはどういうことかということになると、そこにその色があって正しいのかどうか、その色が妙に沈んだり、飛び出したりはしていないか、というように使う人もある。それから色調の明るさや強さに使っている人もある。



実はヴァルールという言葉を完全に使いこなせる人はわりに少ないような気がする。たとえば日本刀を見ていて本当に波紋が見えてくるのには相当経験が必要なのと同じで、絵画作品を見て色彩が良くつかめるのにもかなりの目の訓練が必要である。そして色彩がよく見極められたときにヴァルールの意味が分かってくる、しかもその時に本当にヴァルールのことが理解できている人にその場で指摘してもらうのが一番である。



一度ヴァルールというものが分かれば後はどれでもすぐに見分けられるようになる。昨年の秋の日本での個展のときに,旧知の人たちとの話にヴァルールのについての思いで話が出たときにあらためて実感したヴァルールであった。





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by papasanmazan | 2018-02-26 21:51 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2018-03-02 19:18 x
バルール 本当ですね!わかっているようで実はあまりよくわからなかったです。単に色が飛び出したり穴になったりと画面上の不都合位にしか理解していなかった。バルールという言葉の意味に本質を見分けるほどの訓練が必要だったとは…そのものの本質が見え理解できた時の新鮮さは格別なんだろうな~と想像しています。バルール(色価)の本来の意味が分かっただけでも私には新鮮でした。ありがとうございました。
Commented by papasanmazan at 2018-03-04 01:31
みみずくさん、ヴァルールというと色彩に関する言葉ということになるのでしょうが、その色彩にも面積が関係してきます。つまり色彩の量です。ということは形にも関係してくるわけで、色だけを独立して考えることは不可能なわけです。その色彩にしてもはっきり色面として区画される場合もあれば、色どうしが溶け合わされ、ぼか仕込まれていることもあります。そのあたりの総合したものを踏まえてヴァルールということに言い合わされれば、これは正しい意見になると思います。
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